ニュースをみるとバカになる10の理由
【著者】ジョン・サマービル
【訳者】林岳彦/立木勝【出版社】PHP研究所
【発刊年月】2001年05月10日【本体価格】1,500円【ページ数】233p
【ISBN】4-569-61582-1
(前略)見逃されている重大なことがある。この本はその問題点を指摘するという意味で他書とは一線を画している。「その問題点」とは、ニュースの「定時性(デイリネス)」、つまり日々欠かさずにニュースが流れているということである。
本書 12p より抜粋
あるタウン誌のライターに聞いた話である。その地方に大きな水族館が出来た。入場者一番乗りは県内でも有名な「一番乗り専門(世の中にはこういう人もいるのだ)」の男性であった。しかし、翌日の新聞には最初の入場者として、県外から来た中学生2人組が紙面を飾っていた。何故こういうことが起きるのだろうか。本書を読めば、その理由がわかるはずだ。
新聞は毎日決まった時間に一定の量が届けられている。テレビやラジオといった放送メディアのニュースも、定時に流されている。当たり前のことなのだが…ここに落とし穴があるというのだ。世の中で起きている「ニュース」と呼ばれる出来事は、日々一定量起きているわけでは、当然ない。
また、それぞれのメディアが、世の中で起きているすべての「ニュース」を伝えているわけでもない(物理的にも出来るわけがない)。しかし、時間がくれば新聞は発行しなければならないし、テレビ番組はオンエアーしなくてはならない。まず、その定時性が「ニュース」というコンテンツの信頼感を損ねているというのだ。
さらに、ニュースは「広告を売るための道具である」というジャーナリストの言葉を引いて、稼ぐためのニュース作りについて言及している。読者を惹きつけるための見出しやレイアウト、ショッキングな写真、すべてを知らせずに小出しにする内容など。当たり前のことではなく、当たり前でないことを伝えるのが「ニュース」の役割であるとしている。考えてみればそうだ。
また、速報性の名の元に、ニュースが取上げる内容は、そのトピックスのごく一部に過ぎないことを指摘。あるトピックスに対して議論を深めるほどの情報量を、新聞やテレビが提供できているとは思えないとしている。ニュースは、半可通ばかりを生み出しているのではないのか、そう考えると、新聞やテレビは見ないほうが健全なのではないのか…と思えてくるのだ。
本書に書かれていることは、ある意味で一方的で得心いかない部分もある。実際、自分で収集できる情報など多寡が知れているわけで、ニュースの良い部分は計り知れないのだから。一方、本書が指摘するようなことを忘れて、発信されている情報をすべて信じて(そして頼りにしても)も、またいけないのであろう。情報社会に住む私たちが、必ず持っていたい視点を得るために、目を通しておくことを薦めておきたい。
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