顧客第2主義

【著者】ハル・ローゼンブルース、ダイアン・M・ピータース
【発行】翔泳社【発行年月】2003年08月08日
【本体価格】2,200円【ページ数】365p【ISBN】4-7981-0388-8

あらゆる企業は関心事の順位に基づき経営される。当社の場合、社員、サービス、利益の順である。会社は社員を重視する。そして社員は顧客へのサービスを重視する。利益は最終結果である。

本書 P35 より抜粋

ビジネスマンの、自分が勤める会社への忠誠心や仕事への意欲のなさをよく耳にする。退職や欠勤、無関心、無気力など、様々な弊害は企業の生産性を下げ、市場での競争力をそいでいるようにも見える。なぜ、仕事によって多くの人は、精神的に追いつめられてしまうのか。

本書には、明快にその答えが書かれている。原因は職場が幸福でないからだと。もっと多くの企業が、社内政治や社会的イメージ、利潤追求にかけるのと同じくらいの注意を社員に払えば、それは改善されるのだという。利潤は職場の幸福から自然に生まれる。だが、その逆はないのだと。

一日の大半の時間を過ごす会社。そこでストレスを溜めて家路につく。家族とも上手くコミュニケートできない。それも相まって憂鬱な精神状態のまま出勤する。これでは仕事がはかどるわけがない。だったら、会社が楽しければ良いではないか、ということだ。

企業は顧客に対し、最高のサービスを追究する。当然ながら、顧客があってこその利益だ。しかし、著者が育てた旅行代理店ローゼンブルス社は、彼らの顧客を「二番目」と位置づける。そう、ローゼンブルス社は、自社で働く社員を第一に優先する環境を作り上げているのだ。

理由は簡単だ。顧客にサービスを提供するのは社員で、最高レベルのサービスは心から生まれる。だから、社員の心をつかむ会社が最高のサービスを提供する、ということなのだ。本書には、ローゼンブルス社の社員に対する様々な「職場の幸福」システムが記載されている。

まず、採用は人柄の良い人材しか採らない。人柄は成果に比例すると。そして入社すると、「ランチタイム学習」など様々な研修が用意されている。そこには必ず「楽しさ」が存在する。変化という刺激を常に与え、社員に飽きさせない毎日を確立しているのだ。

しかし、仕事には必ず顧客が存在する。「ウチにはウチの事情があるし…」と悲観してしまうかもしれない。ビジネスには様々なしがらみが存在し、一人の力だけではどうにもならないことが多い。しかし、それは改善できる。その術を知った人が立ち上がればいいだけのことだ。

本書は単なるローゼンブルス社の成功物語ではない。一企業に成功をもたらした要因と、自分のビジネスに様々な形で応用できるアイディアをまとめた参考マニュアルなのだ。従属的な働きでは将来必ず「余分な社員」になってしまう。だからこそ本書を読んで決起して欲しいのだ。お勧めの一冊。