最強の反論力

【著者】工藤浩司 【発行】実業之日本社
【発行年月】2003年08月20日 【本体価格】1,400円
【ページ数】238p 【ISBN】4-408-32195-8

反論の本質は、意見の対立による、新しい何かの創造であり、発見だ。対立するために反論するのではなく、真理を発見するために対立する。だからこそ新しい発見があり、何かが生まれるのだ。

本書 P146 より抜粋

上司から理不尽な発言を受けたとき、あなたは単に同僚にグチるだけでやり過ごしていないだろうか。それでは精神不衛生であるし、今後の競争社会の中で議論していく能力が身につかない。ある意味で、これをチャンスと思って、「反論」をするための練習を積んでみてはいかがだろうか。

本書は、言葉を用いた知的防御法を獲得してもらうために書かれたものである。著者の近著「最強の質問力」に対する「最強の反論力」。一見矛盾しているかのように思えるが、双方の“最強の”スキルを身につけることで、論理的にコミュニケーションが取れるようになるのだ。

仕事におけるコミュニケーションの中で、理不尽な発言とは付き物である。例えば、自分の人格、能力、経験、性別を攻撃してくる内容だ。「まだまだキミは甘い」や「だから女はダメなんだ」などという、全く議論にならず、こちらの思考を停止させる類のものだ。

あなたが社内会議で発言したとき、社長から「君は、まだこの業界のことがわかっていない」と言われたとしよう。この時、あなたの「最初の発言」に関しての、社長のコメントが一切なされなかったら、この社長の発言は間違っているのだという。今こそ反論の時であると。

こんな人格攻撃に対する反論の場合、あなたは「わかりました。社員は社長と真剣に議論できないということですね。残念です」と言い、社長がおかしな議論をしていることに気づいてもらうのがベストな方法なのだという。無論、あなたが客観的で現実味のあるデータを元に発言した場合のことだが。

多くの人は反論する力について「相手を言いくるめる」「定説を覆す」能力と誤解しているかもしれない。しかし著者は反論力は、相手を打ち負かし、説得するものだとは定義していない。そう、議論自体をスムーズに、話の骨子を失わずに、課題に立ち向かうためのパフォーマンスということなのだ。

最近、企業の社員採用基準として「指導力のある人」が挙げられているようだ。中小企業は無論、大企業でも徐々に議論ができる人間を求めるような社会に変わってきた。論理思考の研修を新入社員に徹底し、議論技術、特に質問やそれに対する反論の技術を育てることに、注力しているのだという。

会議などにおいて無言は暗に同意していることと同じだ。本書には、様々なケーススタディを挙げ、論理的な話し方について、詳細に解説している。何か発言しなければいけない時、その方法も列挙している。「言われっぱなしの自分を変える究極の知的防御法」を身につけることをオススメしたい。