アタマで話す技術

【著者】八幡紕芦史【発行】PHP研究所
【発行年月】2003年11月05日 【本体価格】1,300円
【ページ数】173p 【ISBN】4-569-63181-9

聴き手が眠るのは、聴き手の問題ではない。話し手であるあなたの責任だ。
あなたの話は寝るに値したわけだ。

本書 P33 より抜粋

ビジネスにおけるあらゆる場面で、人と人とのコミュニケーションは存在する。思考を言葉という“記号”に変換し、相手に伝える作業は時として誤解され、争いごとにさえ発展する。だからこそ新社会人は敬語を勉強するし、ビジネスマナーや電話応対の練習を徹底してさせられる。

自社の商品を売り込んだり、企画の主旨を説明し説得するケースに関してはさらに上のレベルが求められるだろう。単に適切な言葉を選択し伝えられたとしても、受け手側が身構えて売り込まれないようにしたり、そもそも話を聞くことに面倒くさがる聞き手は多いはずだ。

そこで本書を手にとっていただきたい。「お客様の前では頭の中がグチャグチャになってしまう」「上司に対しては言いたいことが言えない、反論の仕方がわからない」など、会話や説得の場面で必ず経験する悩みを解決してくれるだろう。

本書によると、前述した悩みをお持ちの方は「口で話す」癖や傾向があるらしい。「口で話す」というのは、どうやら“何の戦略も立てず、準備不足のまま会話をしてしまう”ことのようだ。アイデアを思いついたまま羅列してみたり、非論理的で理解に苦しむ会話の組み立て方をしているということ。

そこで会話を始める前段階として、意見の組み立て方や順序、反論や提案拒否をするときのルールが自分の中に備わっていれば、コミュニケーションに対する恐怖はなくなり、円滑に会話やプレゼンができるということなのだ。これを本書では、タイトル通り「アタマで話す技術」として紹介している。

口に出して話す前に、アタマで意見を組み立てる。例えば、プレゼンの時に「では、このソリューションの特徴を申し上げます。まず、1つ目は…、2つ目は…、3つ目は…、4つ目は…、5つ目は…」と続ける。これでは顧客が睡魔に襲われることは間違いない。いつまで続くのか想像もつかない。

そこで、話す内容を大きく3つに分けるのが“聴き手を引きつける”技なのだという。例えば話の冒頭で「理由は3つあります。1つ目は…」と始めることで話のロードマップができ、聴き手の期待を確実に高められるというのだ。これだけ見ても、会話の事前準備がいかに重要かが理解できるだろう。

本書にはこのように、“できるビジネスマン”になるためのコミュニケーションスキルがたくさん紹介されている。上司に反論する時の注意点や、部下をうまく叱る方法など、すぐに役立つ素材が並ぶ。「口で話すか、頭で話すか。あなたの評価はそれで決まる」。ぜひとも、役立てていただきたい。