誰でもわかる重職心得箇条
【著者】佐藤一斎【解説】中村安宏【出版社】平凡社
【発刊年月】2001年12月26日【本体価格】525円
【ページ数】61p【ISBN】4-582-61003-X
重職たるもの、勤向繁多と云う口上は恥ずべき事なり。仮令世話敷とも、世話敷と云わぬが能きなり。随分手のすき、心に有余あるに非れば、大事に心付かぬもの也。重職小事を自らし、諸役に任使する事能わざる故に、諸役自然ともたれる所ありて、重職事多になる勢あり(第八条)。
本書 44p より抜粋
著者・佐藤一斎は1772年生まれ。江戸後期の儒学研究者である。見返しの著者紹介によると、ゲーテなどと同時代の思想家であり、その思想は儒学をベースにしつつもモダンで実践的なものだったという。門下生に、渡辺崋山、佐久間象山、横井小楠がいるそうだ。
あるエピソードが本書をメジャーにした。わが国の迷える外務大臣が、吼える総理大臣より「読みなさい」と渡された(本書そのものではないと思われるが)とされており、永田町発の話題の書とされている。その内容とは、管理職に対してマネジメントの真髄を説く小冊子である。
本書に書かれている管理職の心得はたった17。見返しに「人を使う立場の人間の心得が、わずか十七条で書き尽くされている。これ以上のものは必要なし。」とされている。新書版に大きな活字で組んでたった10ページ。しかし読むとわかる、本書は実に素晴らしい。その一部をここで紹介しよう。
第二条・自分の好みでない部下こそ尊重して使う。第四条・前例や規則にとらわれてわいけない。第八条・忙しいといってはならない。第十条・目先のことにとらわれてはならない。第十三条・部下同士の調和に心を配れ。第十六条・公開すべき情報は公開せよ。読めば気づくことがある。今と同じだ!
冒頭で引用した第八条、管理職は忙しいと言ってはならない。忙しいと大事なことを見落としがちだ。忙しいのは部下にきちんと仕事を任せていない証拠で、仕事を任せてもらえない部下は一層仕事をしなくなり、管理職はますます忙しくなるよ、と戒めている。このような「当たり前だけれども(何故か)出来ていないことで、やるべきこと」が、本書には記されている。
今から二百年以上も前の学者の言葉が、今のビジネス社会に最も欠けているものだと、読めば読むほど気がつかされる。その言葉たちが色あせないのに驚かされるばかりか、二百年前も今も、管理職というものに求められるものは「同じ」なんだなぁと、妙な感心もしてしまうこと請け合いである。
本書、は原文とは別にわかりやすい「現代語訳」が掲載されている。サイズも手ごろ、ボリュームもちょうど良く、通勤の電車の中でも手軽に紐解ける一冊である。繰り返し何度も読んで、自分のものとされることを強くお勧めする。管理職のあなたにとっては、間違いなく座右の一冊になるだろう。
![転職、派遣、アルバイトまで!求人メルマガ [en]キャリアニュース](http://columnjob.en-careernews.com/images/en_logo.gif)
