静かなリーダーシップ
【著者】ジョセフ・L・バダラッコ【監修】高木晴夫【解説】渡邊有貴
【訳者】夏里尚子【出版社】翔泳社
【発刊年月】2002年09月06日
【本体価格】2,200円【ページ数】232p【ISBN】4-7981-0261-X
困難で重要な人間の問題のほとんどは、社内、社外を問わずトップのだれかによる速やかで決定的な方策によって解決するわけではない。重要なのは、脚光とはほど遠い人々が行う、慎重で思慮深く実践的な小さな努力である。すなわち、世界を動かして変革するのは、静かなリーダーなのだ。
本書 見返し より抜粋
日本の経済が悪化していく中で、世間は、熱い思いをもった坂本竜馬のようなリーダーが出てくることがカンフル剤となると信じて止まない。しかし、本書によると、それはどうも違うらしい。アンチ・ヒーロー型のリーダーシップが、今ひそかに注目されているというのだ。
本書では、「静かなリーダーシップ」とは、どういう性質なのか、また、どういう要素をもっていなければいけないのか、仕事で起こる問題に、どう対処すべきなのかを、著者が、4年間かけて研究した実例をあげて、詳しく説明している。
静かなリーダーとは、「忍耐強く、慎重で、段階を経て行動でき、犠牲を出さずに、自分の組織、周りの人々、自分自身にとって正しいと思われることを、目立たずに実践している」という。「ヒーロー型リーダー」が、我が身を顧みずに周囲を助けるというそれとは、実に対照的であるらしい。
例として、あるミッションを与えられた時、時間を費やすという行為は、自分のそれまでの経験のなさを露呈し、一見頼り無さそうにも見受けられれるが、そうではないとしている。混乱した今の世の中では、将来を予想することはとても難しく、即決は、それだけでリスクを背負うことになるという。
そこで「静かなリーダー」は感情的にはならず、何とか決断を遅らせ、周りの人間の知識や技術を取り入れることで、最善の策が見え始めるというのである。そう、費やすのではなく「稼ぐ」のである。まさに、即断即決がウリの、今までのリーダーとは、全く異なるイメージなのだ。
読み進めるうちに、不思議な感覚に襲われる。今まで素晴らしいとされていた「引っ張る」タイプのリーダーよりも、静かなリーダーの方が、良いのではと、思えてしまう。
混沌とした現在のビジネス社会だからこそ、日常生活やビジネスの意志決定を、慎重で、正確さを期し、みんなで幸せになれる環境や状況をつくり出してくれるだろう、静かなリーダーを、時代は求めているような気がする。
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