優秀なオタク社員の上手な使い方

【著者】ジョン・M・イワンセビッチ/トーマス・N・デューニング
【訳者】村井裕美【発行所】ダイヤモンド社
【発行年月】2002年11月28日【本体価格】1,700円
【ページ数】238p【ISBN】4-478-36055-3

プログラマー、SE、WEBデザイナーなどのIT技術者に限らず、現代のすべての技術者は、デジタル世代のハイテク労働者であり、既存の会社理論とは異なったカルチャーを持つ。これまでの「古典的」人事管理はもはや通用しない。
本書 見返し裏 より抜粋

形振りはかまっていないと一目でわかるスタイル、独特の「身内」用語を連発し周囲を排除してしまう、そんなちょっと「個性的」な人を、我々は「オタク」と呼ぶ。彼らは、強いモチベーションを保ちながら、興味のある分野に強い関心を寄せる。そんな彼らが仕事に就く…。

そう、そんな時代がやってきたのだ。パソコンが各家庭に普及し、学生の頃から慣れ親しんだ若者が、実社会に進出してきた。そんな「オタク的」な彼らのことを、本書では「アインシュタイン」と呼ぶ。かの有名な物理学者の名を借りて、彼らの特徴と、その接する方法について掘り下げていく。

彼らは「豊かな技術的知識と知的好奇心を持ち、クールに働き、自発的行為にこだわる」特徴を有すると、本書にはある。端から見れば静かに淡々と仕事をこなしているとしか思えないが、彼らの実力は測り知れないものだ。まさに、アインシュタインという名がふさわしい、素晴らしい人材なのだと。

そんな彼らを育て、会社の利益を上げるための、管理職に与えられた役割はズバリ「彼らを応援すること!」だという。彼らの知識に追いつき、技術を磨こうとしても、それは無駄な努力。上司としての権威が無くなってしまうのだ。彼らが上司に求めるものは、働きやすい環境を整えてくれること。

仕事をしていく上で、難解な課題を解くこと、それがアインシュタインのモチベーションである。ゲームと同じスタイルと推測される。管理者としては難題を彼らに解かせればよいだけの話。それが会社の利益につながるのだから。そのゲームをストレスなくクリアさせるには、どうすればよいのか?

本書では「アインシュタイン」の管理方法を、上司の立場から、心理学的、科学的観点からアプローチし、多くの実践例を上げて解説する。彼らのモチベーションを高める方法、転職させない方法、アインシュタインのチームを作る、維持する方法など、実にリアルに、詳しく伝授していく。

「なぜ部下に対してそこまでしなければいけないのか!」と、疑問に思ったりもするだろう。しかし、本書を読み終えればきっとわかる。人にはそれぞれ役割があり、経験豊富な智恵と力で、部下の力を引き出すことで、会社の成功を導き出すことは、とても大切なことなのだと。

CDケースを思わせるサイズと装丁。そして、大切なことは繰り返される平易な文章。しかし、スラスラと読めるわけではない。なぜなら、いちいちかみ締めながら、うなづきながら読んでしまうからだ。そして、アインシュタインは、決して珍しいものではないことに気づく。そう、目の前にもいる。