コミュニティ・オブ・プラクティス

【著者】エティエンヌ・ウェンガー/リチャード・マクダーモット/ウィリアム・M・スナイダー
【監修】野村恭彦【解説】野中郁次郎【訳者】櫻井祐子
【発行】翔泳社
【発行年月】2002年12月17日【本体価格】2,800円
【ページ数】398p【ISBN】4-7981-0343-8

コミュニティ・オブ・プラクティス(実践コミュニティ)とは、あるテーマに関する関心や問題、熱意などを共有し、その分野の知識や技能を、持続的な相互交流を通じて深めていく人々の集団のことである。
本書見返しより抜粋

嫌な言葉だが「粛々」と仕事をこなしていくために適切である「従来型」の組織では「新しい」なにかが作り出せない…そんな声をよく耳にする。「ナレッジ社会の新たな知識形態の実践」と題した本書は、従来型の組織を超えた「知識を核にした社会的枠組み」からの改革を、提案している。

コミュニティ・オブ・プラクティスとは何か。その定義を一読すると、要は今流行の「組織横断型プロジェクト」と、変わりないような気がする。そして、多くのビジネスパーソンは、その類のプロジェクトは、成功を収めているケースが少ないことを知っているはずだ。それとはどう違うのだろう。

成功しない組織横断型プロジェクトの多くは「その運営方法がわからない」ままに、「指揮命令系統を超えることなく」推進されることが多く、結局参加しているメンバーも、今までの業務に「1つ厄介ごとが増えた」程度にしか認識していないことに、問題がある場合が多い。

まず、本書は「実践コミュニティ」は「どこにでもある」と述べる。太古の昔、焚き火を囲い、狩りを効率よく行うために、鏃の形を工夫する話し合いがなされた(たぶんその通りだろう)それと同じであると。そこは、知識を体系化し、使えるものにするために、有益な場所になるのだと。

詳細を書くほどの紙数はないので割愛するが、企業はこの「知識を生み出す集団」を、積極的にそして体系的に「育成する」必要があると、本書は論じている。企業は自身への求心力の変化(帰属意識と言い換えても良いかもしれない)と、コミュニティを認知し、ビジネス成果につなげるビジョンを持つべきだというのだ。

さらに、実践コミュニティの持つ意味、構成する要素、そして、運営の方法と、問題点などを、具体的な例とともに、きわめて精緻に論じている。この一冊を読めば、組織横断型プロジェクトの「真の有効性」が理解できることは、間違いないだろう。

面白い一冊ではあるが、ボリュームが多く、読むのに骨が折れる。しかも、同じコトを繰り返し述べている部分が多く(=だからわかりやすいという解釈も出来るのだが…)スルスルっとは読めない。しかし、苦労して読み終えた後、あなたのワークスタイルは変わる・・・かもしれない。
オススメ!