会社を変える社員はどこにいるか

【著者】川上真史【発行】ダイヤモンド社
【発行年月】2003年08月28日【本体価格】1,500円
【ページ数】202p【ISBN】4-478-44046-8

企業がダメだから、人事制度がヘンだからなどと企業側にだけ責任を求めていては、何も進まない。今こそ企業も個人も変化を起こすべきときである。

本書 P198 より抜粋

最近、仕事の成果に従って評価される「成果主義」が浸透してきた。終身雇用が終焉を迎え「ウチの会社もそろそろ…」という流れが至るところに…というところだろうか。実はその成果主義を誤ったカタチで導入し、人材不況に陥る最悪のパターンを迎えてしまう会社が多いのだという。

成果主義を導入する目的は、個々の社員がセルフマネジメント的な動きを起こすようになり、競争力を持つ人材を生み出すことだ。そのためには「動機づけ」が必要となるという。また、高いパフォーマンスをあげる人材から辞めていくことがないように、継続的な動機づけも求められる。

本書では、「コンピテンシー」を人材不況脱出のための大きなキーワードとしている。一般的には「能力」と訳されるが、それでは少し視点が違う。個人の能力を見る場合、ほとんどの人は「優秀かどうか」という視点で見ているのではないだろうか。しかし、優秀かどうかは関係ないというのだ。

個人の持っている能力が成果につながるかどうか──がコンピテンシーの視点なのだという。なるほど、個人の知識や思考力、動機などの側面が充実していても、継続的に成果を出せなければ、競争力を持った人材とは言い難いということなのだろう。

著者は、能力をもっているのにも関わらず、成果が出ないのは、セルフマネジメントができていないからだと主張する。自分自身がどのような成果を生み出せるのかを証明できないと、誰も自分を選んでくれないのだから。

コンピテンシーのレベルは5段階に分かれていると本書にはある。この5段階が市場価値、投資価値を決める。価値を持ち、投資に値すると考えられる人材は、レベル4以上の力を発揮できるのだとか。例えば、レベル4以上は「状況変容行動」ができ、レベル3以下は「状況従属行動」しかできない。

ごく一般的な日本企業のビジネスパーソンを、5段階レベルで日頃の行動を見てみると、約9割以上がレベル2程度だという。これは、当たり前のことしかできないレベルだ。

世界的に求められている人材が、自らビジネスを創り出せる人であるこの状況で、これでは、世界を敵に回して「勝ち目がない」のは明白だろう。

本書には、世界的に競争力をもった人材を育てるためのノウハウがギッシリ詰まっている。キャリア創造、コーチング、部下の動機づけなど、本質的な会社のあり方から、具体的な人材育成法まで、これまで我々が抱いていたビジネスの常識を覆す。人材づくりに迷ったら、ぜひ読んでいただきたい。