ビジネスマンのための知的ミーハー思考のすすめ
【著者】文月敏雄
【出版社】PHP研究所
【発刊年月】2000年11月27日【本体価格】1,250円【ページ数】269p
【ISBN】4-569-61327-6
問題は、知識収集の際のメンタリティです。「自分で考えなくても、解答はどこかにある。誰かが持っている。それを探し当てるのが、知的な活動なんだ」と思い込み、この”知的な活動”を果てしなく繰り返してきたことが問題なのです。つまり、「知のフロンティア」を「知識のフロンティア」と勘違いしていたわけです。
本文18ページより
考えるという作業はとても難しいと感じるヒトは多いだろう。その理由の一つに、考えるスキルを教育のどの段階ででも教わらなかった、ということがあるはずだ。社会に出て働き始めてもそれは同様で、きちんとした「考えるための技術」をレクチャーされているヒトはひどく少ない。
本書は「考えることを考えよう」をコアコンセプトとした、思考のためのガイドブックである。理路整然と考えるためのテクニックが並べられた本ではない。どちらかというと、考えるためのヒントが適宜詰まった読み物体裁になっている。
まず「考えない症候群」に陥ってませんかと、様々な「既成概念」という枠にとらわれた中でしか考えれないヒト=本当に考えていないヒトと看破している。ビジネス書を読む際のメンタリティとして、「答えは本の中にある」と思い込んで探そうとしていませんかと、耳の痛い指摘をしている。なかなか興味深い。
さらに「考えることを考える」として、考えなくてもすんだ日本の土壌、アメリカにおける考えるということの若干のヒント等を整理。日本人の均一性という気質に言及し、変化が生じない環境では、考えることよりも知っているということが尊ばれてきたことに触れている。何故考えなくてもすんできたのか、というベースは、知っておいて損はない。
以降、考えるためのテクニックと進むのだが、広告代理店(博報堂)からコンサルティング会社(ボストン・コンサルティング・グループ)へと進んだ筆者の経験を交えてのノウハウ(というよりもヒント)は、読んでいてとても面白い。
また、「潜在ニーズを探ることは難しい。顕在ニーズを大切にせよ。」などの指摘など、わかり切ったことと「枠」を作ってしまっていたことにも気づかされたりして、汗顔の至りである。
この中に「解答」があるというタイプの本ではない。しかしヒントはたくさん詰まっている。軽装版のこの本を通勤の行き帰りにでも読んで、街を観察してみることをお勧めする。思考技術が磨かれることだろう。
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