キャリアショック

【著者】高橋俊介【出版社】東洋経済新報社
【発刊年月】2000年11月20日【本体価格】1,500円【ページ数】214p
【ISBN】4-492-53108-4

いま求められているのは、予想外のどのようなキャリアショックに対しても柔軟に対応できる能力を、会社主導ではなく、自分主導で身につけていくことである。それは、単に雇用の流動性に対応して社外でも通用するスキルを身につけるといった次元のものではなく、その先をいなかければならない。
はじめに より

一昔前までのキャリアプランといえば、就職した企業内で、いかに上位のポストに就くかということを示していた。したがって、個人の能力を磨くというよりも、「組織の中での動き」という観点からのキャリア開発がなされてきた。しかし、終身雇用制度のなし崩し的な瓦解などによって、個人という観点からキャリア開発を行うことが必要になっている。

本書は、人材マネジメント分野で長年コンサルティングをおこなってきた筆者が、個人の観点からのキャリア開発を体系化、今後の個人と企業のキャリア開発のあり方について、詳細に述べている。なかでも注目しておきたいのは、「キャリアコンピタンシー」という概念だ。

終身雇用が当たり前だった時代は、キャリアプランは容易に設定できた。目標となるポストや先輩を見つけ、努力をすればよかったからだ。しかし今や吸収や合併などによって、会社そのものが何時消滅するかわからない。本書ではそのことを「キャリアショック」と呼んでいる。

自分が描いていた将来像が予期せぬカタチで崩壊することが、日常で次々と起こっている今、キャリアプランを設定するのはかなり難しい。そこで、自分のキャリアにとって「好ましい変化」を仕掛けて、変化に対応するだけの「能力」を備えること=キャリアコンピタンシーが要求されている。

本書では、キャリアコンピタンシーを身に付けるための視座視点がわかりやすく示されている。キャリアショックとは何か、キャリアそのものの本質、キャリアを切り開くための行動指針や、企業が考えるべきことなど、興味深い内容が並んでいる。

例えば、キャリアをアップさせるときに、今までやってきたことを、さらに積み上げるだけでは競合するものに勝てないと判断したときには、水平展開(=異分野や本流ではなく傍流への移動)をして、キャリアを進めていくことが書かれている。気が付いていても、思い切ることができない行動だが、本書に示されている事例などを読むと、なるほどと頷かされることも多い。

自分のキャリアプランを考える上で、必読の一冊といえるだろう。まず本書を読んで、自分のキャリアアップアクションを精査してみることをお勧めしたい。