ブランド力
【著者】山田敦郎+グラムコブランドマーク研究班
【発行所】中央公論新社【発行年月】2002年09月25日
【本体価格】2,000円【ページ数】429p【ISBN】4-12-003310-4
資生堂/モンブラン/エルメス/ロールス・ロイス/ジャガー/スタジオジブリ/久保田/関さば・関あじ/P&G/ネスレ/GAP/エゴイスト/浜崎あゆみ/中谷彰宏/ウールマーク…。
本書に紹介されているブランドの抜粋
またしても時代はブランドブームである。「ヒト・モノ・カネ・情報・ブランド、これが新時代の五大経営資源」といわれる中で、21世紀に求められる資産は「ブランド」であるといわれている。そんな中での本書の登場だ。なかなかの大冊、読むのに骨が折れそうな気がする。
しかし、この本はきわめて面白い。「ブランド力」というタイトルと、腰帯の「パワーブランドになるための条件とは何か」によって、ずいぶん損をしているのではと思う。ブランドを軸にした、とても興味深いビジネスストーリーが、ここにはたくさん描かれているからだ。
まず、最初に「資生堂」が紹介される。資生堂と言えば「化粧品」、その資生堂の商品に変化がおきているのだという。パッケージラベルに、資生堂の文字が消え始めているのだ。本書は、本来なら押し出すべきものが消えていくところを着眼点として、資生堂のブランド戦略に迫っていく。
資生堂のマークである「花椿」は、写真家でもあった初代社長が自ら絵筆を取り、デザインしたものであること。創業の土地である「銀座」にこだわり続ける理由。そして、掲げるスローガンの大切さに触れる。その周辺のエピソードを読むだけで、すでに楽しい。
そして、話はグローバル化する企業としてのブランド戦略へと広がっていくのだ。ローカルブランドの育成、新カテゴリー市場での戦略、さらには世界的なポジションの確立まで、話題が広がっていく。バックヤードにある「芸術的」な部分を視座に据えることで、その戦略が鮮明になっていく。
そう、本書を読むことによって、その企業の「持ち味」を、様々な角度から知ることになる。裏を返せば、ブランド力を持つ企業は、読むものをひきつける強烈な「個性」が存在するということでもあるのだろう。当然、綿密な取材による、事実が積み上げられた文章に、よるところも大きい。
企業のメッセージが消費者に届きにくくなった、だから、ブランドを持っている企業だけが、1人勝ちできる時代になっている…という声を、よく耳にする。しかし、本書を読めば、本末転倒な話であることがわかる。ブランドとは信頼の証、ブランド企業はそれを守るべく大変な努力をしているのだ。
自身に関係のない分野の話だと思わず、一度本書を手にとって見てほしい。専門用語も少なく、平易な文章とともに、企業が消費者にコミットする際、欠かしてはならない矜持のようなものが、本書にはギュッと詰まっているからだ。オススメの一冊である。
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