日本経済幻論 -これからの時代ってむごくない?-

【著者】しりあがり寿+日本総合研究所【出版社】PHP研究所
【発刊年月】2001年01月31日【本体価格】1,400円【ページ数】180p
【ISBN】4-569-61325-X

(前略)本書は、このような日本経済、日本企業の現状認識に基づき、二 十一世紀に向けた改革の方向性について、米国経済あるいはアングロ・サ クソン型経営システムとの比較から学ぼうという意図が込められている。
本書 はじめに より

何をどう考えても、日本の今の経済状態は良くないのだろう。ビジネス雑誌や新聞、テレビでのニュースなどを見ていても、「良くない」とは報じられているのだが、それらを見ていても、「何が理由で悪い状態」なのか、「どうすれば改善に向かう」のか、そして、「個人としては何をすればよい」のか、一向にわからない。

本書は、哀愁のマンガ家・しりあがり寿の、今の日本経済をテーマにした、コミカルでいて悲哀の漂うマンガに、日本総研の切れのある解説を加える、というスタイルを取っている。内容は、経済原論・サラリーマン像・経営・インターネット・ビジネスモデル・ゲーム社会・消費者ニーズの八項目。それぞれの項目について、現在と未来を、わかりやすく説明している。

例えば「サラリーマン像」は、世界一元気で働き者と言われた「ジャパニーズ・ビジネスマン」がいなくなった原因、経営トップが突然外国人に交代すること、在宅勤務について、ネット社会が大きくなるにつれ雇用形態が変化する予測、企業組織のバーチャル化などが、取り上げられている。コラムそれぞれは、短い解説だが、大まかなところをガチッと掴むことができる。

コラムの頭についたマンガは相当笑える。誰もが思っている最近のビジネストレンドに潜む「それっておかしいじゃん」を、実に端的に描いているからだ。ツボに入るというのは、このことだろう。ビジネス書にマンガを導入するケースが増えてきているが、テキストを絵に直しただけ、というものが多い。ここでは、読む前にそのコラムの「肝」を示している。楽しく読めることは間違いない。

腰を据えてじっくりと読む、という内容ではない。それよりも、通勤電車の中で、リラックスして読むことをお勧めしたい。易しいからといって、内容が雑であるということはない。必要なデータなどの図版は適宜挿入されているし、なにより「どうすればよいのか」のヒントが多数盛り込まれている。サクッと読めるのが、忙しい身には何よりありがたいはず。