企画の道具箱

【著者】細野晴義【発行】実業之日本社
【発行年月】2004年01月15日 【本体価格】1,400円
【ページ数】222p 【ISBN】4-408-10573-2

「この物語は、会社を辞めて起業し、株式公開したいと思っているあなたのための疑似体験ストーリーである」

本書 P162 より抜粋

「企画書が書けない」「企画書をどうかけばいいのかわからない」と思ったことはないだろうか。頭の中には何となくイメージできているのだが、紙面にするには難しいと。本書を読めばわかるが、実は、頭の中にあるものを紙面に落とすまでには、やらなければいけないことがあるようだ。

「企画書はドラマだ!」。ビジネスには決まった型は存在しない、人と人とが織りなすドラマがあるのだと、本書は冒頭から掲げている。つまり、そのドラマを企画するのだから、企画書作成にマニュアルがあること自体がおかしいということなのだ。

では、どうすれば書けるか。それは、書き始める前段階「インプット」の作業が肝心なのだと。「インプット」しないと「アウトプット」はできない。例えば、医者なら最新の情報や技術を学び、治療にあたる。コピーライターでも、一言を書くのに莫大な資料に目を通す、といった具合だ。

そこで、企画書を作るには表や図式化を考えるよりもまず「言葉をしっかり作る」ことを、本書では勧めている。そのために大切なのは「メモを取ること」だと。メモを作れば、表や図にするのにも簡単。呼応関係や言葉遣いを統一させることで、不足部分が見えてくるし、アイデアも出てくるという。

本書では、競合文具メーカー2社のケーススタディを交えながら、課題克服のための企画書作成をしていく。ブレーンストーミングから生まれたキーワードたちをうまく仲間分けして、問題点や課題解決方法を明確化していくことで、魅力的な企画を一気につくりあげていく、といった内容だ。

本書を読みながら驚いた。「人を魅了させるための企画書本」だけあって、いつのまにか「書けそうだ」と思わせるような巧みな構成になっていることに。平易な文章で読みやすいし、理解に一切苦しまない。何よりそこにドラマがあると感じられるのだ。

これまでの企画書解説の多くは、見せ方に重点を置き、テンプレートに当てはめていく、というタイプのものが多かった。分かりやすい図説も重要なことかも知れないが、企画書を書く人それぞれの立場が変われば、ドラマの展開も変わるはずだ。

我々は普段「顧客のために」などと頭では理解しているものの、実際に行動に移す時には自分の視点で物事を考えがちだ。それはやはり本質的な部分で顧客や問題点を理解していないことなのだ。本書を一読されれば、その方法を身につけられることだろう。