正しいこと

【著者】ジェフリー・L・セグリン【発行】ダイヤモンド社
【発行年月】2004年02月05日 【本体価格】1,600円
【ページ数】213p 【ISBN】4-478-73275-2

受け取ってもよいビジネス・ギフトの上限
元社員に関して問い合わせがあったとき
社員の監視。監視者を監視するのは誰か?
賄賂と訳されない賄賂

本書 目次 より抜粋

職場内での恋愛関係、お歳暮やお中元、上司と部下間での貸し借りなどについて、普段あまり気にせず過ごしている。しかし、ここから発生するトラブルや事件が実に多いことも事実だ。だが、これには明確なルールを決めることが難しく、個人の裁量に委ねるしかないのが現状だろう。

また、職場内での宗教問題、時間外での仕事の依頼、ネットやメールの監視(プライバシーの問題)など、よくよく考えてみればトラブルとなりうるネタは山ほどある。ビジネス社会に生きていくためには何を「正」とし、判断し行動すればいいのだろうか。

「今の私の行動は正しいことか」という問いに対する難しさ、葛藤やジレンマは今も昔も変わらず普遍的なものだ。本書は、このような難しい疑問に対し、どう立ち向かえばいいのかを解りやすく教えてくれるビジネスエッセイ集である。

1998年から現在まで続いている『ニューヨークタイムズ』の人気コラム“正しいこと”から過去4年間分をまとめ、本にしたものである。コラムの一話一話が独立したテーマで成り立っており、誰もが直面する可能性のある事例ばかりが掲載されている。

コラム「受け取ってもよいビジネス・ギフトの上限」の内容はこうだ。

ニューヨークにあるテレコンプ社のCEOが、クリスマス休暇が近づいた頃に、お世話になった顧客のためにグリーティングカードと一緒に、アメリカン・エキスプレスの50ドルギフト券を贈ることにした。

郵送2,3日後、そのうちの2人からギフト券が送り返されてきた。送り返してきた2人の会社には「25ドル以上のギフトを受け取ってはいけないというギフト・ポリシー」があったのだ。

この事例だけでも、多くのことを考えさせられる。まず、ギフト自体に潜む“ビジネスにおける見返り”への期待。ギフトを受け取る制限の規定。ギフトを送り返すことの倫理観など。そう、ここには贈る側と、贈られる側のさまざまな気持ちが錯綜しているのだ。

本書は、考えても答えが出し切れない倫理やモラルの世界を、深く多角的に考察する。形式張った文化や規定について、我々は今一度考える必要があるように思える。自分が起こす行動は、どのような倫理的意味をもつのか。より広い視点で考える機会を与えてくれる良書だ。