一人勝ちの経済学

【著者】大前研一 【出版社】光文社 【発刊年月】1999年 8月30日
【本体価格】1600円 【ページ数】 323P 【ISBN】4-334-97228-4

つまり、自分がどういう人生を生きたいのかという「答え」によって、時間のかけ方もお金のかけ方も決ってくる。自分が何を手に入れるべきかも決ってくる。逆に言えば、どういう人生を生きたいのかが決っていない人には、自分が何を手に入れるべきかが分からないということである。
同書 P310から引用

ここ近年、今まででは考えられなかったメガヒットが乱立している。音楽や、映画というエンターテイメントの世界では宇多田ヒカル、B’z、GLAY、

『タイタニック』、そしてポケットモンスター。出版の世界では、『五体不満足』に『日本語練習帳』。『買ってはいけない』の大ヒットも記憶に新しい。

これらの大ヒットの裏側に、「人は選択肢が増えると、かえって選択ということをしなくなるのではないか」という疑問を感じたことから、この『一人勝ちの経済学』ははじまる。

近年日本で進行しているのは、様々な場所で言われる、「多様化」なのではなく、一極化という全く逆の方向性なのではないだろうか。そんな問題提起によって書かれた本書は、近年のメガヒット乱立の状況分析から、日本の経済・金融・産業に関して、そして日本とアメリカの関係、世界の経済に関して、と様々な問題に対して鋭い分析を加えている。

冒頭の引用は、こんな時代において私達に必要なことはなんなのか、という問いに対し、筆者である大前氏がみずから答えた言葉だ。同書は、単に一人勝ちというメカニズムを分析しているのではなく、急転落しがちな危うさもつ、一人勝ちという現象をいかに持続させていくか、という方法論へのヒントが解説されている。

最近の人事をめぐる動向は、私達ビジネスマンにとりャリアをいかに構築していくのか、という点において、間違いなく多様化の途を辿っている。この状況において、私達が思考停止に陥らず、みずからの望む道を選択し、成功を手にするための様々なヒントがちりばめられた同書。この1冊を、是非とも多くの方に手にとっていただきたい。