流行人類学クロニクル

【著者】武田徹 【出版社】日経BP社 【発刊年月】1999年07月30日
【本体価格】3,500円 【ページ数】 862P 【ISBN】4-8222-4147-5

本書に記されているのは、紛れもなく僕達が生きた時代である。
同書 862p より

10年にわたって、雑誌・日経トレンディに連載されていた「新流行人類学」をまとめたもの。先週に続き大冊である。本当は来週紹介しようと思っていた。なぜなら、そのページ数から、締め切りまでにすべてに目を通すことは出来ないと踏んでいたからだ。果たして、スーッと読めてしまった。興味深い内容と読み易い文章、本書には、この二つが揃っている。

二十世紀末のニッポンの流行を省みることが、どうしてビジネススキルのアップに繋がるのだろうか。ビジネススキル向上のためには、実務的なノウハウを求めることも大切だが、それ以上に、パースペクティヴな視点が持てるかどうかが、様々な予測を持って行動しなくてはいけない、ビジネス社会において、今後は重要になると思われる。

流行という一過性の現象を、丁寧な取材と軽妙な筆致によって、文字に定着させた本書を読むことで、視点のありようを見つけ出すことが出来るだろう。流行の本質を炙り出す、といった大層なものではなく、流行の表層からでも、視点次第で多くのことが学べることがわかる。 また、過去に流行したものから、未来の流行を導き出すことは出来ないが、過去に失敗したケースからは、さまざまなことを学べるはずだ。

本書にはそれこそ、時代のあだ花のような事例が山とある。カバーしているテーマも、学生専用カードから始まって、丸の内ヤンエグ交流会、ソムリエ、ダブルワークウーマン、電磁波、和製ロック、仏教界と、実に幅広い。コラム一つ一つを解きほぐすように読み進めれば、過ぎてしまった流行だから分かる、答えを知っているから理解できる、様々な間違いに気がつくはずだ。そして、過去の様々な失敗例は、最良の教訓であることに気がつくだろう。

書店で手にとって、目次の中から興味あるコラムに、その場で目を通してみることをお勧めする。腰帯に-20世紀ニッポン流行供養の書-とあるこの本が、あなたの座右の書になるかもしれない。