なんでんかんでんの作り方
【著者】川原ひろし【出版社】日経BP社
【発刊年月】99年12月01日 【本体価格】1,300円 【ページ数】 276P
【ISBN】4-8222-4136-X
「なんでんかんでん」には毎日少なくとも八百人のお客様が訪れる。仮に、毎日お客様の一割にあたる八十人の方が「まずい」と言えば、二ヶ月でその数はのべ五千人ほどになる。さして、さきほどの「一人のクレーム客の裏に五人の物言わぬクレーム客」という法則に従えば、のべ二万五千人の方が「まずい」と思っていることになる。それだけの数のお客様が黙って来なくなってしまったら……と考えただけでも、足ががたがた震える思いだ。
同書 173p より
「なんでんかんでん」とは東京で人気のあるラーメン店のこと。年商三億のこの店ができるまでのサクセスストーリーを、オーナーが自らでまとめたものだ。成功者の一代記を読むことは楽しい。何故ならそこには、成功者としての自信と自負が、存分に書き込まれているからだ。ヒトの(ある種の)自慢話は、自らのビジネスへの参考になるかというと疑問だが、やる気を喚起するには、よい素材だと思う。それこそ、「なんでんかんでん」の名物・博多ラーメンではないけれども、濃厚な方がより良い。
歌手を目指したが駄目だった著者は、一念発起しラーメン店を始める。実業家の一族に生まれた著者は、開業時、本人が書いているほどには苦労せず、店をヒットさせてしまう。開業時からとってきたさまざまな戦略は実に巧みで(後からまとめているからだろうけど)、中々に読ませる。
例えば、開店当初はメニューの数を増やし、居酒屋のような店にした。そうすることで、お客の店内滞留時間は増え、結果的に繁盛店を演出できる。ある程度お客がついたら、今度はメニューをラーメンに絞り込むことによって、掛かるコストをギュッと圧縮し、さらに、お客の回転率を上げた。この戦略、なかなか鋭い。要は、今店にとって、どのような戦略が必要なのか、ということを的確につかんでないと、考え付かないからだ。読み進めると、一つ一つがはっきりとした「目的」をもって実行されていることがわかる。できそうでできないことだと、心当たりあるでしょ?
平易な文章と、かなり濃厚な自慢話は、ぐんぐん読み進めることができる。通り一遍読んだだけでは、その良さがわかりにくい本だろう。ひとつひとつのエピソードを、自分のビジネスライフに置き換えてみると、参になることが多いかもしれない。味見を勧めておきたい。
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