新教養主義宣言
【著者】山形浩生【出版社】晶文社
【発刊年月】99年12月05日 【本体価格】1,800円 【ページ数】 293P
【ISBN】4-7949-6415-3
教養というのは、本来はずっとずっと実用的なものだ。さっきも言ったように、教養って価値判断のベースになるものなんだもの。そして世の中の「商売」と呼ばれているもの、ビジネスと称するものはすべて、この価値判断のかたまりじゃあございませんか。それをきちんと教えなくてはならない。
同書 28p より
口惜しいから書きたくはないが、世の中に溢れているビジネス書の書評の中で、山形浩生のそれは、実に信頼できる。まず駄目なものは駄目と、きちんと言いきってしまうところ。そして、その駄目さ加減が理解できることで、世の中の本質的な課題が見とおせてしまうところが素晴らしい。著者の文章はとてもわかりやすく(砕けたモノ言いともとれる)その分、不愉快な印象を読み手に与える場合もある。この著者の書籍を紹介している文を読むと、筋のとおった罵詈雑言、などと括ってあるものが多い。しかし、罵詈雑言と揶揄してしまっては、本質を見逃してしまうことになる。
著者は日本人の教養レベルが落ちていることを嘆く。教養とはリテラシーなはずなのに、ベースがない状態では、文化的にはもちろん、経済的にも世界に伍していくことは不可能だろうと。知的インラフとしての教養主義を唱えている。教育と啓蒙こそが、シンプレックスから、マルチプレックスへの掛け橋になるのだと。教養が衰えている、だから、日本社会が混迷をしているのではないかとも言う。
しかしここで疑問なのだが、教養ってなんだろう。筆者は、所謂「日本的」な教養は、もはや用を成さないと否定している。じゃあ「教科書」なのかと揶揄している。筆者の考える教養とは、このエピローグを読んでも茫洋としている。はっきりわかりにくい。
その答えは、実は、エピローグに続く本文にちりばめられている。情報化社会、ネットワークと経済、文化、社会システムなど、収められている文章の守備範囲はかなり広い。そして、読み勧めるうちに、自分の「新教養」のレベルがどの程度なのか、自覚できるだろう。知らないうちに。
巻頭からの50ページ分の文章は圧巻である。-心ときめくミームたちを求めて-というプロローグを読むためだけにお金を払っても惜しくない。
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