閑休自在 悠々自滴 異口同飲
【著者】西村佳也/長谷川好男【出版社】美術出版社
【発刊年月】1999年11月11日 【本体価格】1,500円 【ページ数】 160P
【ISBN】4-568-22109-9
ここに収められた一三四篇の文章は、すべて「あみだクジ」のごとき形式になっている。その時どきの歳時記的テーマをまず選び、そのテーマとなった事柄に関する思い入れ、こだわり、知識、教養、薀蓄、含蓄、洒落、諧謔、ノスタルジアなどをへめぐったあげく、最後に「ウイスキー」を愛飲する愉しさのところへ文章を落とし込む。見事な芸の連鎖である。
贅沢なたくらみ 村松友視 同書 腰帯推薦文 より
現代のビジネスマンに求められている教養とはなんだろうか。社会や経済問題に明るく、流行りモノに強く、そして、電子機器が操れるって感じだろうか。求められているリテラシーが、例えそこにあったとしても、(恐らく必要とされているだろう)スキルだけを磨くだけで良いのだろうか。さりとて、じゃあ、ビジネスマンの教養ってなんだ、と考えたときに、ひょっとしたら、指針になるのでは、という本を見つけた。
本書は、サントリー山崎の新聞広告をまとめただけの本である。広告コピーなれど、宣伝くさくなく、(架空の)私が登場し、ちょっとした雑感を書いている。ただそれだけ。しかし、その内容たるや、上記の推薦文のごとくである。たった三百文字で、悠々と遊ぶ。その馥郁たる世界は、なんとなく、オトナの教養をイメージさせる。別段、役に立つことが書かれているわけではない。しかし、オトナのビジネスマンとして、こんなことを知っていれば、カッコイイってことが、ここにはたくさん詰まっている。
例えば、紅葉を肴にウイスキーを楽しむために、もみじの葉に砂糖水を塗ったりする。文章を書いていて、テンの位置に迷ったことから、尾崎紅葉や二葉亭四迷に思いをはせる。上手な歩き方を忘れてしまったと嘆いてしまったり。サンタクロースの正しい住所を知っていたりする。さらには、深夜に卵焼きが食べたくなって焼いたりする(笑)。
こういう、取るに足らない、知っておいて、得にならないことを学ぶ機会を、私たちは失っているような気がする。こういうことを知っているヒトは、一目置きたくなるし、その余裕が羨ましくなる。キャリアアップに努力する一方で、たまの休みにでも、この本を開いてリラックスしてみてはどうだろうか。小さなエピソードだが、もっと知りたい、と思うきっかけづくりに向いているコラムも多い。どこから読んでも、誰が読んでも、楽しいという、いまどき珍しい本でもある。ぜひ書店でお探しください。
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