組織の経済学

【著者】ポール・ミルグロム/ジョン・ロバーツ
【出版社】NTT出版社
【発刊年月】1997年11月10日【本体価格】5,500円【ページ数】702p
【ISBN】4-87188-536-4

本書でわれわれは、次のような疑問に答えようとする。(中略)「雇用、給与、昇進の仕組みは、従業員や役員の生産性にどのような影響を与えるのか」、「利益を生む資産を誰が所有するのかという問題は、どのような要因によって決定されるのか」、「企業の資金調達や所有構造は、企業の業績や経済システムのパフォーマンスにどのような影響を与えるのか」などである。
本文 腰帯 より

ビジネスマンとして日々忙しい毎日を送っていたとしても、自らが属している組織について考えを至らせているヒトは、意外に少ないのではないだろうか。キャリアを積み重ねていくと、避けては通れない「企業組織」について、系統立てて理解しておくことは、ぜひとも必要なことだろう。

腰帯には、アメリカのMBA、比較制度分析、企業理論の標準的な教科書であるとされている本書は、企業組織とそれを取り巻く制度について、数多い事例を挙げて、詳細に分析、システムとして考察している。経済組織としての企業の基本的な問題から始まって、組織における取引や効率性の問題、組織と市場との関係、組織における契約、インセンティブ、さらには、雇用、資金について、組織デザインと…企業組織に関する実に幅広い範囲の経済理論をカバーしている。それぞれの項が詳細で、拾い読みをするだけでも、実に楽しい。

例えば、報酬と動機付けという章では、さまざまな給与形態について整理した後に、報酬政策の目的として、給与を支払う意義について詳細に解説している。さらに、動機付けとしてのインセンティブ、出来高払い、業績評価と、トピックスは広がりを見せる。組織における経済学的視点でのレクチャーなのだが、本書に書かれてあることを理解しておくことにより、自らのビジネスマンとしての行動の裏打ちができることは間違いない。キャリアを積まれて、管理職になる方には、必読の1冊と言えるだろう。

ここでお断り。取り上げることをためらったくらいの大著である。この本を紹介しようと思ってから、通読するまでにずいぶん時間がかかってしまった。ボリュームもさることながら、内容はなかなかに歯ごたえがある。まとまった時間が取れるこの時期だからこそ、と言うよりも、この時期にしか紹介できない1冊である。高価なので、まず書店で(少し大きな書店ならあるようです)手に取られて、目次をじっくり見て欲しい。自らの興味のあるトピックスがひとつでもあれば、買いです。名著。