新聞広告で企業戦略を読む

【編者】日本経済新聞社広告局【出版社】日本経済新聞社
【発刊年月】2000年08月02日【本体価格】1,600円【ページ数】239p
【ISBN】4-532-14848-0

新たな世紀に向かって、広告の出し手も受け手も根底から価値観の再検討を問われている。そのなかで、ひとつひとつの広告に出し手の考え抜かれた英知が集中されている限り、新聞広告は広告主と読者のインタラクティブな関係、交流の契機と場面になり得るということである。インタラクティブという効用がネットの専売特許であるかのような世上の常識は見直されなければならないのではないか。
本文 16p より

ビジネスマンにとってのベーシックな情報源とは何だろう。インターネットが席巻しているこの時代においても、未だそれは新聞であることに間違いはない。本書は、日経新聞に出稿された「広告」を事例とし、そのメッセージから時代の潮流をつかむ、という内容である。シリーズとしては3冊目になるこの本、なかなかに面白い。

例えば第1章では「金融」と「e-ビジネス」を取り上げて、その広告メッセージから「グローバルスタンダード」「新しいイメージの確立」「ヒューマンアクセス」と言うキーワードを抽出。その言葉の元に、それぞれの企業が、何を言わんとしているのかが、詳細に解説されている。広告によって発信されているメッセージが、時代を映す鏡であることがわかる。さらには、「企業メッセージの新戦略」「提案型アプローチ」「ニュースとの相乗効果を狙う」と、イメージ的な広告が影を潜め、メッセージ性の強い新聞広告が増えている、今の新聞広告の姿を解説している。

情報源としての、新聞と他のメディアとの違いを考えてみると「広告の違い」にあるのではないだろうか。ウェブ上でのバナー広告や、テレビなどのコマーシャルは、どちらかと言うと「一瞬のメッセージ」だ。しかし、他のメディアとは比較にならない情報量を提供出来る新聞広告は、「理解しやすいメッセージ」を発信していると言える。ビジネスマンとして、その重要性を再認識させられる1冊である。

また、新聞広告はビジネスドキュメントの作成時にも、大きいに参考になるはずだ。データの効果的な見せ方、ポリシーを伝えるための表現の工夫、わかりやすく陳腐ではない説得の言葉、など、表現のプロたちが、あらゆるテクニックを駆使している。本書は、広告表現における留意点も、かなり解説している。精読すれば、今までとは、一味違った書類作りのために役立つ、という本でもありそうだ。