市場「淘汰」されるサービス業 顧客「選択」されるサービス業
【著者】村上世彰【出版社】ダイヤモンド社
【発刊年月】1999年02月18日【本体価格】1,800円【ページ数】231p
【ISBN】4-478-50163-7
「我々銀行を、小売業と一緒にされては困りますね」あるとき、某大手都市銀行の役員はこのように発言した。しかし、実は「一緒」なのである。銀行をはじめとする金融業も、百貨店やスーパーマーケットといった小売業も、等しく「サービス・プロバイダー」(サービスの提供者)なのだ。
本文 019p より
プロバイダーと聞いて何を思い浮かべるだろうか?たいていはISP(インターネット・サービス・プロバイダー)を、真っ先にイメージするだろう。最近話題のASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)を頭に浮かべる人もいるかもしれない。本書では、サービスを提供する産業を広く「サービス・プロバイダー」と呼んでいる。
いささか旧聞に属する本ではあるが、サービス・プロバイダーを語るに、最も的を得て、しかも、コンパクトにまとまっている本ということで、ぜひ紹介しておきたい。著者は、通商産業省サービス産業企画官という肩書きを持つ「お役人」である。サービス産業の現状とあるべき姿について、わかり易く紹介されている。
内容だが、まず、サービス・プロバイダーについて述べている。サービス産業全体における「プロハイダー」としての視点の欠如を指摘。さらに、優れたサービス・プロバイダーとしての要件、サービス・プロバイダーの巨大化、寡占化について言及している。グローバル・スタンダードを踏襲していけば、結果的に、それに対応するために、統合が進み、サービス産業は寡占状態になる、というくだりは、ぜひとも知っておくべき流れであることは、言うまでもない。
さらに、サービス・プロバイダーを進化させる要素として、評価システムについても、そのあらましをまとめている。サービスの質を低下させている原因は、提供者と受給者の情報格差(サービスについて提供を受ける側が何も知らなさ過ぎる)であるとし、サービスを公正に評価するシステムの必要性を説く。さらには、評価システム事業のケーススタディを取りあげて、「プロバイダーを評価すること」についての、具体的な理解を促している。
今後のビジネス社会において、サービスに関する原理原則を理解していないビジネスマンに、多くは望めないだろう。あらゆるビジネスマンは、実は、一人一人が「サービス・プロバイダー」なのだから。自らが提供すべきサービスのための指針と、その評価軸が詰まっているこの本、目を通しておくべきだろう。
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