ペンギンの国のクジャク

【著者】BJギャラガー/ウォレン・H・シュミット
【訳者】田中一江【出版社】扶桑社
【発刊年月】2002年02月28日【本体価格】933円
【ページ数】167p【ISBN】4-594-03408-X

これは、快適で安全で、規則を守ってさえいれば先が読めることをよしとする世界で、ユニークかつ創造的であろうとすることの危険性と可能性を語る物語だ。
本文 5pより 抜粋

組織の海に浮かぶペンギンの国。そこに所属するのは成功の証だけれど、ペンギンらしくふるまわなければ成功することはできない。ある日、1羽のクジャクがこの国にやって来た。本書は、ビジネス社会における組織と個人のかかわりを見直すためのヒントが満載のビジネス寓話である。

先のクジャクは、組織の活性化を図りたいとするペンギンからスカウトされてペンギンの国にやってくる。クジャクは努力をし業績を上げるが、ペンギンというスタイルに馴染まないことによって、評価されずにジレンマに陥ってしまう。自分のスタイルを変えて、組織に馴染むべきか否か。

本書は、世界のどんな組織でも起きている「守旧派vs改革派」のもたらす問題点をわかりやすく提示している。守旧派の流儀防衛の手口、また改革派の守旧派に対しての歩み寄りテクニック、そして失望、さらには守旧派なりの焦り。物語は意外な方向へと向かっていくのだが…。

話を結末まで書いてしまうのは野暮なので止そう。われわれは多様性を求める、と言いつつ、ペンギンスーツを用意し、ペンギン歩きを強要し、組織の中に埋没させようとする官僚的な組織の人たちのことを「ペンギン」に例えたセンスが、言いえて妙で笑えてしまう。確かにペンギン…そう見える。

巻末には、ペンギンの国の中でクジャクやそのほかの鳥として生きていくヒント、そしてペンギンを飛ばせるためのアイデアがまとめられている。本書の肝はこの部分にあると言っても過言ではない。ビジネス社会における組織に蔓延する、さまざまなジレンマを解決する糸口がそこにはある。

例をいくつか挙げておこう。例えば、他所に行きたくないクジャクのためには、サバイバルテクニックとして、仕事の実績がウリになるのだから、何より仕事を頑張ろうとし、いざとなったらペンギン・スーツを着ることも厭わない「柔軟性」を持とうと提案。さらに、嫌なら辞めちゃえばとも言う。

また、ペンギン振りを指摘する方法として、ペンギンたちがいかにも言いそうなフレーズを列挙している。「ここでは、そういうやり方はしない」「社長が承知しない」「ここは無難にいこう」「だまって、わたしのいうとおりにすればいいんだ」身に覚えのある言葉が並んでいて、驚いてしまう。

本書は、組織に馴染めない個性派社員にも、組織を活性化しようとする管理職にも一読をお勧めしたい。組織とはなんなのか、活性化とはどういうものなのか、何となくわかった気でいたことが、ここではっきり言語化できるはずだから。何より、すっと読めるのが嬉しい。