社長!それは「法律」問題です
【著者】中島茂+秋山進【出版社】日本経済新聞社
【発刊年月】2002年06月25日
【本体価格】1,500円【ページ数】326p【ISBN】4-532-14985-1
日本の取締役制度だって、株主代表訴訟制度のおかげで、随分背骨が入り始めているわけですね。公認会計士・監査法人だって、訴えられる時代になったら、変わったでしょう。長い目でみれば、訴えられることはいいことなのです。
本文 180p より 抜粋
とても売れている本で、今さら取り上げるのもどうかと思ったが、やはりかなり面白い一冊であるので、紹介することにした。あのベストセラー「経済ってそういうことだったのか会議」の法律版のような本である。ただし、会議を行っているメンバーは違うけれども。
まず「法人」について語っている。法人ってどんな人なんだろう、法律の世界では「法人実在説」と「法人擬制説」があるのだと、非常に興味深いところから話が始まっている。企業買収や内部造反の生々しい話が、ビジネスの中での「法律」のリアルさを伝えている。
しかも、法律に関する話をしているはずなのに、日本の経営者が役員になって何が嬉しいかとたずねられたら「秘書と車と個室」と答えていて、役員になって何をやる、という話は出ないというエピソードに脱線したりする。話がフラフラと色んなところに行くが、それもまた楽しいのだ。
また、リスクマネジメントの項では、素朴に人を信じすぎる日本人として、リスクマネジメントに真剣に取り組まない日本の会社を「国民性」と絡めて危機への警鐘を鳴らす。日本の経営者はいくら言っても「いや、わが社は大丈夫ですよ」と言ってしまうらしい。
さらに、今注目のキーワードである「コンプライアンス」に関しても、本書は言及している。社会通念上の常識や論理に照らして企業が正しい経営を行うこととして、単なる「法律遵守」だけではないことを、事例を交えて紹介されていて、その「芯」の部分を掴むことが出来る。
そのほかにも「知的財産」「独禁法」「ディスクロージャー」「企業再編」など、興味深いワードが満載なのだ。それぞれにわかりやすい「実例」、ビジネスパーソンとしての素朴な「突っ込み」、法律家としての明快かつ納得な「回答」、それぞれがかみ合って、スラスラと読めてしまう。
また、さらに本筋から離れた話をコラムとして罫線でくくり、紹介しているのだが、特許に目をつけ始めているのは「特許マフィア」と呼ばれる、かなり危ない人たちであること、法律学者というのはいったい何をやっているのか?など、読み物としても「面白く」仕上げられている。
ビジネスパーソンにとって「法律」が無縁ではないことは、昨今のニュース報道を見ていてもあきらかだろう。その場での、対処対応を間違ってしまえば、会社自体が消滅してしまうのだ。知らないではすまないビジネスのルールをこの本で確認してみると良いだろう。お勧めの一冊である。
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