会社に行きたくない人悩み相談室

【著者】ジェレミー・ブルモア【訳者】長島水際【出版社】朝日新聞社
【発刊年月】2002年10月05日
【本体価格】1,200円【ページ数】174p【ISBN】4-02-257790-8

上司がアルコール依存症になっているため、近ごろは彼をかばわなければならない機会がますます増えてきました。彼を裏切るようなまねはしたくないのですが、苦しい立場に追いこまれており、上司のためにつきつづけている嘘が、なんらかのかたちでわたし自身に跳ねかえってくるのではないかと心配しています。
本文 85p より抜粋

一切の悩みを持たないで、日々楽しく会社に通っている人は、一体どのくらいいるというのだろう。もちろん、全くいないわけではないだろうが、その数はとても少ないことは、容易に想像がつく。では、その悩みの原因となっているものは、職場における「何もの」なのだろうか。

筆者は、仕事に行きたくないと悩む人たちにとっての、唯一最大の問題は、仕事の本質ではなく、人間性の本質にあると説く。つまり、仕事上の問題の大半は、人間関係の問題なのだと。そして、その問題となる人間関係の悩みを「あら?」という視点から、解決に導いてくれるのが、本書なのだ。

同僚のひとりに、どうしようもなく癇にさわる男がいる…との相談が舞い込む。彼の意見は確かに悪くない。でも、声や態度が鼻につく。しかも、残念なことに、社長は彼のことを気に入っている様子。この同僚に対する偏見を無くすには、どうしたらよいのでしょうと。

筆者の回答は明快だ。あなたがいらだっているのは、彼の声や態度のせいではないはずだ。彼がいい意見を述べ、そして、社長に気に入られているからだと、まず喝破してしまう。その上で、相談者が、その「彼」にそんな態度を取らないでいられる方法を伝授している。

また、ランチタイムになると、銀行に行かなかったからなどと理由をつけては、小銭を借用する上司について悩む部下がいる(どこの国にもこんな人がいるもんだと笑ってしまった)。それに対して、筆者は、かけあって返金してもらうのが筋だけども、と前置きしてから面白いことをいう。

小銭をせびる欠点を補う取り柄、例えば、あなたをみっちり教育し、指導し援助してくれるなら、まあ、それは、授業料みたいなもんだと思えばよいじゃないかと。「気は持ちよう」ということが言いたいのだろうが、いやはやなんとも牧歌的な回答で、ビジネス書らしからぬところが面白い。

そのほかにも、オーナーが経費でジャガーを買ったんだが、どうさせればよいか?や、同僚が鼻が曲がるほど臭いので、その対処法を伝授して欲しい、はたまた、上司の娘が部下になったのだが、給料は高いは仕事は出来ないわで往生しているなど、様々な難問に、筆者は真摯に答えている。

本書は、突拍子もない質問が並び、割とラフな回答が並んでいるように見える。しかし、職場の難しい人間関係を解決するための糸口を、的確に示していることは、読めばわかる。そういえばあの人はこんな感じだなぁと、不思議と読み進めるうちに、浮かび上がってきたりするのだ。オススメ!