インナーワーク

【著者】ティモシー・ガルウェイ 【発行】日刊スポーツ出版社
【発行年月】2003年06月02日 【本体価格】1,500円
【ページ数】398p 【ISBN】4-8172-0224-6

もっと明るくとか、プラス思考で、などと強引なやり方で気分を変えようとする前に、まず自分の知覚力(意識)に、感じ取るチャンスを与えてはどうだろうか。感じ取ること自体に、実は自然治癒力(自修作用)が含まれていることに驚くはずだ。
本書 184P より抜粋

様々な「ビジネスのハウツー本」的な書籍が流布しているが、本書に出会えたことはある意味ラッキーだったかも知れない。ビジネスマンにおける仕事への考え方を見事に覆し、これまでの「常識」を完全に裏切ることになる。

本書は「集中力の秘密」を分りやすく解説し、世界のスポーツ心理学の応用分野で高い評価を得た「インナーゲーム」理論を、ビジネスの分野に移植したものだ。マニュアル通りのプラクティスではプレイヤーは往々にして成果を挙げられない。それは、人間の本能に起因しているのだという。

例えば人間にとって「売買」は古くからの普遍的な行為だ。上手に売る方法としては数多くの本や研修コースが作られてきたはずだ。しかし著者はここで意外にも、まず5歳児の例を挙げて解説する。

「5歳児はモノを売るのが上手い。両親に欲しいものをなんでも買わせてしまう。買い手と親しい関係を作り上げ、反対されても、相手の弱味を知っていたり、もう一方の買い手にアプローチするなど実に創造的だ。」そう、彼らは「あきらめ」を知らない。

なぜ、彼らはこの技術を会得できたのだろうか。

子供は、セールスのやり方を身につける為に、当然だが「仕事」とか「お勉強」はしていない。欲しいものを手に入れる方法を自然なプロセスの中で体験的に学び取っていく。明確な目的意識をもった5歳児は、自分への自信と希望に満ちそこへ注意を集中し、言動をとっているのだというのだ。

簡単な例を挙げたが、要は「輝かしい結果を得る為には、注意力を一つに集中すること」に重要性があるようだ。

人間が内側にもっている能力は、妨害因子さえゼロならそのまま100%発揮されるのだという。裏を返せばわずかな自信のなさ、誤った推測、ミスを恐れる不安感などがパフォーマンスを大きく妨げているのだと改めて著者は主張する。

このように、本書では具体的な実験や実例を挙げながら、セールスの現場や顧客対応、組織改革の問題点とその対処例を具体的に提示する。さらに人材開発や従業員の意識改革に試行錯誤する企業経営者や管理職にとっては、格好の手引書となるだろう。