「クビ!」論。
【著者】梅森浩一【発行】朝日新聞社
【発行年月】2003年06月30日【本体価格】1,200円
【ページ数】221p【ISBN】4-02-257849-1
外資系企業では、クビは日常茶飯事。長く勤めていれば、誰もが経験していることです。だから、クビはクビでも、一般的に日本人が思い浮かべるイメージとは、いささか趣が異なります。
本書 172P より抜粋
バブル崩壊後、相次ぐ大企業の倒産劇が続いている。自己資本ではどうにもならなくなった企業は、合併や買収で何とか生き残ろうと必死だ。そこで企業経営の第一の負担となる人件費の削減に目を向けられることとなった。もはやリストラの“波”は他人事ではなくなってしまった。
本書の著者はまさに“クビ切り”の請負人であった。外資系企業の人事部長として通算1000人という社員を退職に追いやった張本人である。クビを切られる方は当然難事ではあるが、切る側も相当のストレスと葛藤に見舞われ、ポリシーをもって臨まなければなし得なかっただろう。
本書は単純に“クビ切り自慢”などという「つまらない内容」ではない。ここから学べること、それは「経営者として、社員として、プロフェッショナルであれ」という色彩が強く感じられる内容だ。それは本書で紹介している外資系企業と日本の企業を比較することで、明解となる。
そもそも終身雇用制度や年功序列型賃金などは外資系企業では考えられないことだ。完全なる実力主義。業績の上がらない社員は即解雇。当然ながら雇用側は雇われる人間を一人のプロとして扱い、雇われる側も“クビ”というリスクを覚悟して入社してくるという。
そう、外資系企業ではクビ切りは日常茶飯事のことなのだ。外資系企業で働くビジネスマンは個々人が自分の専門分野を伸ばし、どこででも通用する市場価値を持っているため、どこの会社でもやっていけるのだと。そして、自分に仕事が回ってこなくなった時点で、会社員としての引退なのだという。
一方、日本企業で働くビジネスマンは言うまでもなく組織的だ。新卒として入社後、いろいろな部署を経験させられ、一種のゼネラリストとして育成させられる。つまり、その企業内での特殊的なスキルしか身につかない。クビになり、他の企業に転職できてもまたゼロからのスタートなのだ。
日本企業はリストラをしても不思議なことに業績が上がらない。それはリストラに失敗しているからなのだと。著者は、日本企業の「整理解雇」にも疑問を投げかける。目先の業績をばかりに関心をもってクビを切っていては、いちばん大切な「持続する改革」に至らないのだということだ。
本書では、このように外資系企業と日本企業の体質の相違点を列挙し、我々に警告を投げかける。逆に「クビにならないためには」、「自分の存在価値を誇示するための方法」など、ビジネスマンとしてのミッションも同時に提示してくれる。ぜひ、一読することをオススメする。
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