なぜ企業はシェアで失敗するのか!

【著者】リチャード・ミニター 【発行】日本経済新聞社
【発行年月】2003年08月08日 【本体価格】1,600円
【ページ数】237p 【ISBN】4-532-31069-5

利益リーダーが市場リーダーになる例はそれなりに見かけるが、市場リーダーが利益リーダーになることはめったにない。

本書 P138 より抜粋

経済が低迷する中、企業は勝ち組を目指し奔走している。買収や合併を繰り返し、規模の拡大で何とか顧客を増やそうと試みる。生き残るためには何が重要か。当然利益を上げることではないか。無論、誰もが理解していることだ。しかし正確には、理解している“つもり”だったのかもしれない。

企業を成長させるためには「市場シェアを築くこと」だと主張する経営者は実に多い。市場シェアの伸びは、長期的な利益成長につながる。その分野で最大手になれば、莫大なサービス収入が得られるようになるという思い込みがある。これこそ間違った常識なのだと、著者は看破する。

先に言っておくが、これは未来の話ではない。今までも、この常識に囚われた企業の多くは成長を鈍化させ、業界から撤退するなど悲惨な結果を残しているそうだ。少なくとも企業の経営者は、自分たちがシェア追求戦略を選ぶ理由、あるいは、選ばない理由を知っておくべきなのだ。

本書では、市場シェア追求の理論がほとんどの業界で全く役に立たないことを示す。これまで市場シェアを追求してきた企業の実例を列挙し、市場シェアの大きさがもたらす「優位」、この無意味さを証明していくのだ。生き残りをかけ、どうすれば利益リーダーシップ企業となれるのかを紹介する。

まず、シェア追求戦略の実際はどうなのか。「アマゾン・ドット・コム」の売上高は、世界のどの書店よりも多いだろう。言うまでもなく、アメリカ国内最大のオンライン書店だ。ただ、市場シェアは7年間伸び続けているのにも関わらず、2002年1月まで一度も利益を計上しなかったそうだ。

実は、このようなケースは山ほどあるのだという。大手企業が、市場シェアや他社を上回る規模を活かして、非常に大きな利益を稼ぎ出している実例を探すと、それとは正反対の結果が出てきたのだという。

本書には、驚くべきデータが載っていた。「70%以上のトップ企業は、収益性では首位ではない」というのだ。市場シェアと利益に関する従来の常識をこっぱみじんに打ち砕くものだ。他の約30%の企業は、「利益を追求した結果、市場シェアでもトップになった」ということだった。

いかがだろうか。少なくとも業界のトップシェア企業が、必ずしも安定した利益を計上しているという固定概念は消え失せるだろう。どういう方法で業界のリーダーシップを握るか、その全貌を本書でご覧いただきたい。少なくとも企業マネージャーは、その論拠を知っているべきなのだ。