ウケる技術

【著者】小林昌平・山本周嗣・水野敬也【発行】オーエス出版
【発行年月】2003年07月31日【本体価格】1,500円
【ページ数】215p【ISBN】4-7573-0178-2 C0033

自分の欠点をかばうのではなく、それすらも笑いのきっかけにできるというポジティブさ、これがウケる人のスタンスなのです。

本書 P113 より抜粋

まず最初に断っておこう。この本、ごく普通のビジネス書ではない。いや、ビジネス書という範疇に入れてしまってはいけないのかもしれない。しかしビジネスの現場で、役に立ちそうな一冊であるとも言えるのだ。まさに「書評者泣かせ」の一冊である。

面白い人の周りに人が集まってくるのはなぜか。それは言うまでもなく、楽しい時間を享受できるからだ。では、面白さとは何か。それは自分にとっての「意外さ、新鮮さ」から成るものなのだろう。言葉選び、声の大きさ、話し方、体の動きなどをTPOで使い分けているのだと思われる。

「ウケる人」は常に2、3歩先を(無意識かもしれないが)想定して会話を作り上げてくるのだ。場に即した「笑い」は人間関係を豊かにする。ことビジネスの現場でも、楽しく仕事がしたいと願う人は多いはずだ。顧客や上司と上手く付き合えない、と悩んでいるのではないだろうか。

コミュニケーションに関する書籍は数多く見かける。しかし、あらゆるコミュニケーション本を見回しても、これほど「笑い」という強力なツールに特化した書籍はないだろう。本書を読むと「ウケる人」のコツがわかる。

「ウケる人」になる為には、「ツッコミ」の本質的な理解から始める必要がある、と冒頭から生真面目に書かれていて、読んでいても思わず顔が緩んでしまう。しかし内容は真剣そのもの。普段テレビで見る「意味わかんねーよ!」などと乱暴に言うだけの、表面的なイメージではまだまだ甘いらしい。

例えば、上司が救いようのない“サムい”冗談を言っても、「あなたは今、面白いことを言った。そのことを私はよく理解していて賛同していますよ」というアピールが重要なのだという。

そして、「あなたは面白い」「あなたはこれこれという点で面白い」、さらに「あなたは気づいていないかも知れないけど、今こんなにも面白いことを言った」というように、表面上は攻撃的なトーンであっても、相手が「面白いことを言っている」部分を拾ってあげる気持ちが重要なのだと。

そう、「ツッコミ」とは「相手を立てる」サービス精神、曰く「ツッコミサービス」でなければいけないのだという。

本書はこのように、個人のセンスに依拠しがちな「笑い」という高いハードルを乗り越え、体系化している。「ロジカルシンキング、問題解決法、説得術」など、いわばハードなスキルに対しての「対人力、ヒューマンスキル、人間関係のスキル」というソフトなスキルがギッシリ詰まっているのだ。

本書には、様々なケーススタディ(会話内容)が載っているが、笑いの質は概して“今っぽい”。“シュール”な笑いを、分解してかなり丁寧に解説している。これで手強い上司やクライアントでも上手く立ち回れるのでは、と自信がつくかも知れない。一読をお勧めする。