ドキュメント知財攻防

【編者】日経産業新聞【発行】日本経済新聞社
【発行年月】2003年08月22日
【本体価格】1,500円 【ページ数】355p 【ISBN】4-532-31070-9

今、「攻防」が起きている。音楽、アニメ、書籍、ゲームなどコンテンツという知的財産の権利のコントロール(支配)を巡り、様々な対立が表面化している。

本書 P4 より抜粋

デジタル技術が台頭し、コンテンツに対する注目が高まってきた。コンテンツはメディアで流通するが、かつては書物くらいしかなかったメディアは、インターネットやDVDなど、様々な形態に多様化している。ネットもパソコンだけでなく、携帯電話や携帯情報端末へと細分化している。

これにより優れたコンテンツを生み出す者が、莫大な富を獲得できる時代が始まった。そして「知財」を、いかに生み出し、いかに活かし、いかに守るか。その「攻防」もまた、始まったのだ。コンテンツ優位の時代に企業戦略はどうあるべきなのだろうか。

本書は、2002年4月から日経産業新聞で連載してきた「知財攻防」をベースに担当記者が大幅に加筆・修正し、一部書き下ろしたものだ。本書によると、今はコンテンツ業界の支配権が揺らいでいるのだという。デジタル技術の登場でコンテンツの著作権がコントロールできなくなっているのだと。

確かに、音楽はパソコンで自由に複製されネット上を飛び交う。ブロードバンドの普及で映像もまた然りだ。また、アナログの世界でも新古書店の流行で、新刊本で出たばかりのコミックが安値で手に入る。その結果、レコード会社や映画会社、出版社の売れ行きが鈍化し、実入りに影響している。

それに対抗する動きも出ている。

音楽業界は、パソコンを使った音楽CDのデジタルコピーを防ぐ新技術を導入した。コピーCDを作ったり、インターネットで楽曲ファイルを交換する動きを、音源であるCDの元から断つ狙いだ。日本では2002年からエイベックスが導入した「コピーコントロールCD」なるものだ。

これを巡って業界が揺れ動く。日本レコード協会は、著作権保護のため、音質が劣化しないデジタル方式の音楽複製した場合、CDの売れ行き悪化の原因とし補償金を徴収すると主張。一方CD・ビデオレンタル業界は、売れ行き悪化の原因ではなく、レコード会社の販売手法に問題があると反論する。

本書ではさらに、アーティスト側の権利保護を考慮した新しい動き、映画館や喫茶店などで流れるBGMに関する問題点、ネットラジオ局と音楽ソフト業界の対立、急成長中の着メロ市場の動向まで記載し、様々な立場の見解を紹介する。

この他にも、書籍に関する著作権侵害、アニメやゲーム、アイドルの権利を巡って様々な論争を紹介している。著作権を巡って、果ては将来の文化創造を守ることを考慮すると、コンテンツ業界から目が離せなくなる。デジタル時代のビジネスモデルのあり方を、一層考えさせられる一冊だ。