休むために働くドイツ人、働くために休む日本人

【著者】福田直子【発行】PHP研究所
【発行年月】2004年03月05日 【本体価格】1,200円
【ページ数】191p 【ISBN】4-569-63367-6

ドイツは先進国の中で、最も労働者の時間当たりの賃金が高く、有給休暇が多い一方、労働時間が少なく、税金や社会保障費が高い国となった。

本書 P184 より抜粋

まず、大変興味深いタイトルだ。ともに敗戦から立ち上がり、世界で最も裕福な国の一つとして立ち直った両国の働き方は似ていると思われていた。しかし、これまでの既成概念として“勤勉”とされるドイツ人と日本人の働き方は、我々のイメージと全く異なるようだ。

著者は「日本人とドイツ人の働き方は全く違う」という。ドイツでは、週の労働時間を削減し、有給休暇は年に6週間もあるという。「過労死するくらいなら太りすぎで死にたい!」というドイツ人。限られた時間内で猛烈に働き、休む。つまり、自分や家族との時間を得るために一生懸命働くらしい。

一方、日本人の働き方はどうか。日本人は仕事を一つのアイデンティティと位置づけ、“自己実現のために”とまで言い切ってしまう。オンとオフを使い分けず、キャリアアップをめざしている。人生のほとんどを仕事に費やしまさに「働くために、休日で身体を休める」というスタンスになっている。

両国の仕事に対する考え方の違いは、シンプルに“文化・性格の違い”という理由だけでは済まされそうもない。例えば、ドイツの社会保障制度は日本のそれとは全然違うという。

ドイツには現在、人口8200万人中、失業者が400万人ほど。労働時間は法律で厳格に限られていて、役人は朝7時から働くと、3時頃には家に帰ったりする。カトリック休暇や超過勤務による代休はきっちり取らなければいけない。体調不良は数日間休む、など仕事ができない条件が山ほどある。

会社にいる人間は、人がいない分働かなければ、と思うと、5時か6時くらいには帰宅しているというから驚く。ドイツには従業員の過労を防ぐ「閉店法」があるため、日々の必需品を買うには早く帰らないといけないらしい。

こんな働き方で十分な生活ができるくらいの収入はあるのだろうかと疑いたくもなる。しかしドイツでは、ずっと失業していても十分暮らせるだけの生活を保障してしまっているのだという。福祉国家ドイツでは失業者も手厚く保護されていて、食べていけるだけの保障を政府がしてくれるのだという。

保護され過ぎているドイツ、保護が足りない日本。しかし根本は、それぞれの生活を意識した働き方なのである。経済大国の中でも、日本と対照的なビジネス社会。その実情を知ることで、“当たり前”になっている働き方を、もう一度見直す機会を与えてくれる一冊である。読むことをお勧めしたい。