フリーエージェント社会の到来
【著者】ダニエル・ピンク【訳者】池村千秋【出版社】ダイヤモンド社
【発刊年月】2002年04月18日【本体価格】2,200円
【ページ数】394p【ISBN】4-478-19044-5
重要なのは、企業の寿命が短くなっているこの時代に、私たち一人ひとりの 寿命は長くなっているということだ。これからは、勤め先の企業より長生きするのが当たり前になる。ひとつの組織に一生涯勤め続けるなどということ は考えにくくなる。
本文 14p より 抜粋
フリーエージェントと聞くと何を連想するだろうか。プロ野球選手のストーブリーグでのFA宣言を思い浮かべる人が多いかもしれない。もしくは、勤めている会社の中には、社内転職の制度があって、それをFAと呼んでいるというところもあるかもしれない。
本書でいうフリーエージェントとは、自宅でひとりで働き、組織の庇護を受けることなく自分の知恵だけを頼りに、独立していると同時に社会とつながっているビジネスを築き上げた人のことをいう。オーガニセーション・マン(=組織人間)の時代は終わったのだと、本書は高らかに謳い上げる。
本書ではまず、新しい働き方であるフリーエージェントについて、そのメリットが述べられている。何よりも組織に縛られない。そして、会社に勤めていては、潰れてしまったらお終いだ。複数のクライアントを持つことでリスクを回避できる。さらに、時間が自由になるなど、様々だ。
さらに、組織に縛られない代わりにできる「新しい人の結びつき」にも言及している。上下の繋がりではなく、緩やかではあるけれどもフラットな人の繋がりが生まれるのだと。プロジェクトが始まると人材が集まり、使命が終わると解散して次のプロジェクトへ…どうやらそんな世界らしい。
今までのような年を取ってリタイアする、という時代は終わって、年齢を重ねても働き続けることを望む時代になった今、高齢者のフリーエージェントは、インターネットを利用して、好きなときに求められるだけ働くというスタイルを取るだろう、とも本書では書かれている。
また、フリーエージェントにとって必要な設備として、スターバックスのようなコーヒーショップが挙げられていたり、一日のうち家族以外で口を利いたのはフェデックスの配達員だけだったりすることがあると暴露したりと、なかなかユニークな内容で、読んでいて面白い部分がたくさんある。
筆者はアメリカのゴア前副大統領の首席スピーチライターからフリーエージェントした人物。パースペクティブでありながら、綿密な取材による細かい事象も丹念に拾い上げていて、アメリカにおける「組織に属さず働く」ことを、立体的に描き出している。
日本にこういう社会が訪れるかどうかは別にして、新しいワーキングスタイルの一端に触れるために、本書を読むのは悪くないと思う。訳文も構成もよく、とても読みやすい一冊である。ぜひどうぞ。
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