知的プロフェッショナルへの戦略
【著者】田坂広志【出版社】講談社
【発刊年月】2002年03月18日【本体価格】1,500円
【ページ数】225p【ISBN】4-06-211153-5
分かりやすく言えば、転属や転職、独立などにおいて、次の職場や職業を選ぶとき、「給料」や「年俸」などの金銭的報酬に目を奪われることなく、「この職場で、いったい何が学べるのか?」(知識報酬)「どのような人的ネットワークを築くことができるのか?」(関係報酬)「仕事を通じて自分の業界での評価を高められるか?」(評価報酬)「人間としての成長の目標となるような上司がいるか?」(成長報酬)といったことに目を向けて、人生の選択をしていくということです。
本文 116p より 抜粋
長い引用から始まったが、行間の余白ががたっぷりと取られ、口述筆記にも 似た(実は違うらしい)文体のこの本は、実に示唆に富んでいる。読みやす くはあるけれども、そこに書かれていることは、かなり難しく、そして重要 なことである。
これからの時代に、ビジネスパーソンは何を目指したらよいのか?その難問に本書は明快に答える。「知的プロフェッショナル」を目指すべきだと。勘の良い読者なら「ナレッジワーカー(知識労働者)」とどこが違うんだ?という疑問を持っただろう。
本書は「求められる人材」と「活躍する人材」という言葉を提示し、その答えを導き出す。ナレッジワーカーは、その知識を「労働力」として、社会に求められる人材である。一方、知的プロフェッショナルは「指導力」を発揮することで、社会で活躍する人材なのだと。
では、職業的な知恵を使って仕事をするナレッジワーカーになるためにはどうすればよいのか?「収穫逓増」のキャリア戦略を取るべきだと本書の筆者は説く。この耳慣れない経済用語を使って説明されていることは、結局先に引用した4つのリターンを最大化するということらしい。
金銭的なことは「見えるリターン」だが、それを追い求めるのではなく、知識やリレーション、評価、それに伴う成長こそが、「目に見えない」が大切な仕事の報酬である、その報酬を逓増(=簡単にいえば雪ダルマ式に増やすという感じか…)させることこそが、大切だという。
さらに、自己投資のためのポイントや、師匠と呼ぶべき人を作ること、そして、知恵の交換の技法や、聞くこと反省することの大切さ、個人ブランドの確立まで、「活躍する人材」として必要な「力」を身につけるための、さまざまなステップが、順番に記されている。
最初に読みやすいと書いたが、実はこの本はとても読みにくい。理由はカンタン。筆者が作った(と思われる)新しい言葉があちらこちらに散りばめられているからだ。読みやすそうな雰囲気にだまされてはいけない。繰り返すが、そこに書かれていることは、かなり難しく、そして重要なことなのだ。
これからさらに進化することが予想される知識社会で成功するためのポイントをつかみたい、そんなあなたは、まずこの本を読むと良いだろう。
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