組織の中で成功する人の考え方

【著者】アラン・ダウンズ【訳者】山田聡子【出版社】きこ書房
【発刊年月】2002年08月25日
【本体価格】1,300円【ページ数】190p【ISBN】4-87771-085-X

成功するために、弱点を克服しようとする人は多い。ビジネス書を読んだり セミナーに出席したり、とにかく何でもやってみる。しかしどんなに補修を やってみたところで、弱点が完全に克服されることはほとんどない。弱点は 長所によって克服できるのだ。
本文53pより抜粋

書名が面白い。今まで多かった「キャリアアップ」や「組織の殻を破って活躍」ではなくて「組織の中で成功する」なのである。タイトルだけ見れば、保身のための「ゴマのすり方」や「見栄えがよい報告の仕方」などが書かれているのかと、ワクワクしてしまう。

まず、成功者たちのパワーの秘密は、実は単純明快なものだという説明から筆者は始める。「自分の才能を全面的に信じること、これに尽きる」のだという。そのためには、苦手なことはやる必要はない、得意なこと(=やっていて飽きないこと)をやりさえすればよいのだと。

人は自分が得意とする分野には自然と引き寄せられるものだ、と筆者は説いている。その分野には「強い憧れ」のようなものを抱き、さらには、その仕事を行うときには「喜び」まである。そして実際、その仕事に取り組むときには「素早く仕事を覚えて」しまうのだという。

覚えが悪い仕事はその分野の才能がないと割り切り、その長所だけに情熱を注げ、短所は長所がグンと伸びれば、見えなくなってしまうものだと。そして、その才能が発揮できるように、仕事の形態まで自分にあわせよと説明する。そのためには転職も選択肢だと。

あれ?組織の中で成功するだったはずでは…そう、本書には冒頭で述べたような「保身」などのノウハウは一切書かれていなかった。

自身の才能を再点検し、その長所だけを集中して伸ばすことに努力をする、そのために、仕事を始めた頃のような情熱を甦らせる、そうすることで(漠然とした)不安に打ち勝ち、組織の中で成功しよう!ということらしい。実に直球勝負なのである。

「そんなことは実際には無理だよ!」「生活があるし冒険は出来ないね」などという声が聞こえてきそうだ。本書はそんな(とても悪い言い方をするとしたら)言い訳にも、ある程度は対応している(アメリカの本なのでそのまま鵜呑みには出来ないですが)。まずは読んでみることをオススメする。

ネガティブな要素ばかりがクローズアップされる最近のビジネス社会。だからこそ、自分を信じ、自分の能力を最大限に発揮するために、最高の情熱を傾ける…そんな考えが必要なのかもしれない。「経営心理学者」の肩書きを持つ筆者の言葉は、迷うあなたを、そっと後ろから押してくれるだろう。