コンセプトは「安心」

【著者】谷口正和【出版社】東洋経済新報社
【発刊年月】2002年08月01日
【本体価格】1,400円【ページ数】218p【ISBN】4-492-55450-5

ペットも安心の市場の一方の主役である。ペットはすでに「愛玩」の粋を超えている。(中略)ペットとしてウサギを飼う人がますます増加している。専門の月刊誌や季刊誌も登場し、どれも売れ行きは絶好調だという。「うさぎ情報誌」(ペット新聞社)は月刊誌化した。ウサギ専門のペットシッターやホテルも登場している
本文 137p より抜粋

朝起きて、新聞を開き、不安をかき立てる記事が一本も掲載されていない、そんな日はありえないのが、最近の日常である。この、不安だらけの時代に「安心」をコンセプトにしたマーケットが広がり始めている・・・と、紹介しているのが、本書『コンセプトは「安心」』である。

マーケットの主人公は「個客」なのだと、筆者は説く。そして「個客」の心を掴むためには「安心を創造する」商品の提供が、必要だという。その視点を持たない場合、価格が安かろうが、大量生産が出来ようが、顧客から支持されなくなるというのである。

事例として、本書はまず「家と周辺が安心の拠点」になっていることを紹介する。コンビニの来店客、テーマパークの来園者、さらには、駅の建物がライフセンターとして機能し始めている点をあげ、コミュニティは集約され、自己完結を始めていると言う。

さらには、エンタテイメント、移動手段、情報網、コミュニケーションスタイルも、その自己完結型コミュニティに適合した発展を、し始めていることを紹介している。地域生活圏が自己完結できるのも、そこに「安心」という底支えがあるからだ、と論じているのだ。

なるほど、言われてみれば、その通りの視点である。しかし、改めて指摘されないと、なかなか気づきにくい視点であるとも言える。以下、心に、共生することに、自己解決に、安心のよりどころを見つけ出していく。その視座のユニークさとともに、豊富な事例も、本書の見逃せない魅力である。

それ以上に、本書の読みどころは「情報のクリッピングの巧みさ」にあるのかもしれない。筆者は、新聞や雑誌などの媒体や、書籍を丹念に読み進め、気になる事柄を拾う。そして、拾った情報を、いくつかの分野に集めて、共通する「キーワード」を、浮かび上がらせるのだ。

そのキーワードは、実に「説得力」を持ち得ることは、本書を読みすすめていけば一目瞭然だろう。それが、新しいコンセプトを生み出すかどうかは別の問題として、今時代が「どんな熱を帯びているのか」を、的確に把握するためのノウハウが、この一冊にギッシリと詰まっている。

今を知ることも出来、さらに、これからの今を知るためのスキルも身に付くという、一粒で二度美味しい一冊である。読んで損はないハズだ。