キャリア・コンサルティング

【著者】丸山貴宏 【発行所】翔泳社
【発行年月】2002年12月24日 【本体価格】1500円【ページ数】278p
【ISBN】4-7981-0331-4

今後日本企業も、リストラに伴うセカンドキャリア・サポートだけでなく、自立した個人と会社との方向の擦り合わせ、個人の成功と企業の成功を合致させていくための、キャリア・コンサルティングを行っていく必要があります。
本書 3P より抜粋

我々は、新入社員から始まり、転職や独立と、それぞれの時期において「キャリア」という言葉を意識するようになった。理由としてはやはり、企業が年功序列制度や終身雇用制度をもはや守れなくなり、社員は「自分のことは自分で考えなくてはならない」状況になってしまったからだろう。

だが、ただ単純に今の会社を辞めて次のステップに進みたい、という先走る思いは存在しても「今の自分には何ができて」「次はこんなスキルを身につけたい」そして「将来はこんなことがしたい」などという明確な自己分析のもと、キャリアアップを成功させられる人は、そうそういないのが現実。

そこで本書が紹介するのは、いま急速な注目を浴びている「キャリア・コンサルティング」の重要性だ。アメリカと比べ、カウンセリングの存在自体があまり注目されていなかった日本において、なぜ急にキャリア・カウンセリングがここまで盛り上がったのだろうか。 その牽引要素は…、

坂口厚生労働大臣の「将来的にキャリア・コンサルタントを5万人まで増やす」という発言だ。アメリカにはキャリア・カウンセラーが17万人いる。そこで雇用が硬直化している日本でも就職や転職に関するキャリア・コンサルタントを育成すれば、同様に雇用の流動化が起こると考えているのだ。

カウンセリングという、日本人には「治療」的なイメージの払拭と、個別相談だけでなく、セミナー企画やキャリアプランの設計など、言葉通り、コンサルタントの仕事をこなす意味合いで厚生労働省はこの名にこだわった。本書では、彼らの仕事内容と理論に基づいたケーススタディを紹介する。

まず、彼らの立場を「相談者の意思決定を支援する人」と著者は定義する。必要な援助以外に、過度の指示や命令はタブーなのだという。あくまでも意思決定は相談者なのだ。そこで、彼らは相談者を理解し信頼関係を築き、情報提供やアクションフォローといったステージへ慎重に進めていくという。

ケーススタディを読んでいくと、コンサルタントの巧妙さが実によくわかるだろう。フラットな視点で相談者を理解し、気持ちを察しそれを言葉に落とすことで、相談者から信頼を得る。会話を進めるうちに相談者さえも気づけなかった希望の職種や会社、本人の強みまでもがドンドン浮かび上がる。

客観的な自己分析は重要だといわれるが、実際に採用のプロから客観視してもらうことで、目標が明確になるなら「私も!」とつい思ってしまうかもしれない。

この他にも、実際の現場で活躍する人事担当者の座談会や、コンサルティング業界の情報なども豊富。ぜひ、一読をオススメする。