キャリアの教科書

【著者】佐々木直彦【発行】PHP研究所
【発行年月】2003年07月07日【本体価格】1,600円
【ページ数】286p【ISBN】4-569-62998-9

エンプロイアビリティを高めるために、3つのワークは非常に重要な役割を果たす。3つのワークがなければエンプロイアビリティが高まることはない。

本書 76P より抜粋

雇用形態が劇的に変化した今、自分の“キャリア”を考える、または考えさせられる機会が増えた。自分の将来を見据え、今何をしなければいけないのか。そこまでは、漠然とだが考えている人は多いはずだ。「さあ、そこでどうすれば…」と先が続かない。そんな時に本書を手にとっていただきたい。

本書のキーワードは「エンプロイアビリティ」。直訳すると「雇用される能力」。他にも「転職能力」や「自分の市場価値」とも呼ばれるものだ。エンプロイアビリティには、3つの観点があり、今の会社に居続けること、転職を可能にすること、やりたい仕事をすること、にわけられるという。

今の会社に居続けるためには、単に優等生的な仕事をこなせばいいのだ。平均以上の成果をだし、処遇には文句を言わない。会社にとって都合の良い人材としていればいいだけの話だという。しかし、終身雇用などと安心できる時代ではない。これでは働きたいように働けるはずがない。

次に、転職を可能にするエンプロイアビリティは、市場価値を高めるための専門能力を高める努力をすればいいという。その後、能力を正当に評価してもらう環境を探せばいいのだと。問題は、やりたい仕事を続けるエンプロイアビリティだ。誰もがその答えを待っていたのではないだろうか。

実は、そこには肩書きや給与面などのケースで妥協もできる程度の適応力も問われてくるのだという。生活水準も下がるかもしれない。これを覚悟できればやりたい仕事ができる可能性は高まるのだと。しかしこれは“取っかかり”に過ぎない。そこまでの覚悟が持てた時、理想の未来が見えてくる。

やりたい仕事を追求するほど、一つの分野で専門性を高めることができる。特定のテーマを持って仕事をし続けるほど、必要な情報も集まり知識も経験も増え、キャリアを積み重ねることができる。素晴らしい実績をあげれば、そのままエンプロイアビリティの向上に繋がるのだと、著者は主張する。

キャリアアップのために、必要な要素がいくつかある。道が正しいのか確認する、フィールドワーク、ビジョンを立て、戦略を練り、行動するコンセプトワーク、情報や評価、支援を得るためのネットワーク。

本書では、これらをわかりやすいケースストーリーを用意することで、見事に我々の頭の中に刻み込んでくれるのだ。

キャリアに関する書籍はいくつも存在するが、単なる“読み物”で終わっていなかっただろうか。本書はタイトル通り「教科書」だと感じる。再度、自分の行動を見直し、役立てて損はない一冊だ。