ビジネスマン あなたの市場価値

【著者】箭内昇・山崎元 【発行】ビジネス社
【発行年月】2003年09月18日 【本体価格】1,500円
【ページ数】270p 【ISBN】4-8284-1070-8

30歳と40歳との間ではかなりの自分の価値アップがないと、年収で評価したときの自分の価値というものを維持することすらできません。

本書 P67 より抜粋

本書は、11回も銀行や生保、証券会社など転職を重ねたという経歴を持つ山崎氏と、体制派の代表である銀行に長い間在籍していたキャリアをもつ箭内氏との対談形式の構成になっている。この先、どういうタイプのビジネスマンが成功するか、両氏の実体験を踏まえて展開されるリアルな内容だ。

箭内氏は、21世紀のビジネス社会が求めている人材は「T字型人間」なのだと表現する。Tの縦の長い棒が専門能力で、横の棒がゼネラリスト的な能力を表しているという。つまり“ある分野での専門能力をもったゼネラリスト”のことだと。

ビジネスの世界が専門化してきている傾向があることから、ビジネスマンは何か一つでも自分の得意分野を持たなければいけない。それを持ってマネージャークラスまでになり、さらにその上には経営能力のある人が上がっていくのだと。そう、どちらの能力もビジネスリーダーには必要なのだ。

さらに読み進めていくと、本書は「あなたの市場価値」を高めていくための単なる教科書ではなかった。バブル崩壊前後の激動の金融・経済の動向、大企業病ともいわれる会社依存主義を目の当たりにしてきた両氏による、これからのビジネス社会への提言が、ギッシリ詰まっている内容なのだ。

中でも、若手からシニアまでの各世代は今後どういうポジショニングで働くか、また逆に会社側が各世代の社員をどう扱うか、などの内容は新鮮だ。両氏の意見が一致したのは、30代の若手を活用することが企業にとっても社会全体にとっても重要だということだ。

日本の企業は30代によって支えられているのにも関わらず、彼らを充分に使い切れていないという。彼らにもっと権限とお金を与えて爆発的に働いてもらわなければいけないのに、それができていないと。

原因は様々な要因が絡んでいるのだが、どうやらそろそろ引退を控えた既得権者たちが、何とか自分たちの力を維持しようと勢力を保持していることにあるようだ。だからこそ、何のしがらみも持たない“外様”のような人材やまだ社内文化に染まっていない若手に期待しているのだと両氏は主張する。

他にも、会社における人事部の存在意義、良い企業・悪い企業の見分け方、CEOがいない日本企業の悲劇など、これまでの、今後のビジネス界全体に問題を提起し、両者それぞれの見解を披露する。21世紀を生きるビジネスマンには、まさに福音をもたらす一冊になるだろう。