ゴー・パブリック 起業公開物語
【著者】市川一郎&アソシエイツ【発行】東洋経済新報社
【発行年月】2003年12月18日 【本体価格】1,600円
【ページ数】293p 【ISBN】4-492-53168-8
「この物語は、会社を辞めて起業し、株式公開したいと思っているあなたのための疑似体験ストーリーである」
本書 腰帯 より抜粋
最近、書店に足を運ぶと「独立・起業」と名のつく書籍を多く見かけるようになった。一従業員としてやりたいことを提案しても、会社側に認められなかったり、そもそも人に仕えることに嫌気がさしてきたり、と理由は様々だろうが、自分で会社を設立したいと思う人が増えてきたのは確かだろう。
そんな起業本の中から、面白そうな一冊をご紹介。腰帯には「起業…疑似体験ストーリー」と書かれている。本書は、ハウツー本のように「見出しがあって詳細が枝分かれ式に紹介されている」本ではない。純粋に物語なのだ。
主人公が会社を辞めて起業し、経営者として会社を成り立たせていくストーリーを読者が一緒に追っていく、という構成である。
ストーリー形式で知識を習得していく本は、概して大まかで入門的なものが多い。だが、こと経営者(独立・起業)に関しては、マニュアルに載っていないトラブルや障壁に出くわすことがほとんどだろう。本書には、起業から経営、株式公開までさまざまな課題に取り組む主人公の姿が描かれている。
読み進めてみると、その内容は実にキメ細かい。ベンチャーキャピタリストに相談することから、資金のやりくり、会計士の登場や、人材の獲得など、リアルに会社経営の大変さが読みとれる。
さらには、社内スタッフが起こすトラブルもある。給料が少ないために、接待費として大金を遊びに使ったり、営業がきちんと契約書を交わさなかったために取引先と揉め事が発生したり、会社の金を横領し逃げ出す社員など、実際に起こりうるトラブルと直面する場面も如実に描かれている。
資金繰りの難しさや、内部管理体制の徹底、株式公開への長い道のり。会社をまともに運営していくには多くの人の助けを必要とし、信頼関係と情熱をもって突き進んで行かなくてはいけないのだと、本書を読んでみればわかるだろう。読み物としてもかなり面白い。
退職するときは退職の本、起業するときは起業の本、経営には経営の本、などという行き当たりばったりの行動をとる前に、まず経営者になるとこんな喜びや苦悩があるのだ、というのを全体像として確かめておくのも大切なことなのではないだろうか。動き始めてからじゃ遅いのかも知れない。
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