イノベーションのジレンマ

【著者】クレイトン・クリステンセン【出版社】翔泳社
【発刊年月】00年01月31日 【本体価格】2,000円 【ページ数】 291P
【ISBN】4-88135-839-1

本書でとりあげるのは、業界をリードしていた企業が、ある種の市場や技術の変化に直面したとき、その地位を守ることに失敗した話である。単なる企業の失敗談ではなく、優良企業の話である。多くの経営者が尊敬して手本にしようとし、革新能力と実行力で知られているような企業である。
同書 序章 より

最近評判の本である。通常この手の本は、事例を詳細に分析し、さまざまな道しるべを示す。しかし、往々にして事例が古くなってしまい、本として手に取るタイミングを逸すると、陳腐化することが多い。本書は、そんな劣化(米国では97年出版)を感じさせない、凄まじい破壊力がある。

先に本書序章より引用した文章が、この本のすべてだ。内容紹介としては過不足はない。つまり、どれだけ優れた戦略をもって企業運営を行ってきても、否、行ったからこそ、企業がその地位を追われてしまうことがある。ということを、詳細に実証研究しているのだ。努力しても、努力したからこそ、駄目になってしまう。なんて恐ろしい話なのだろうか。

ここでは、努力と言う平易な言葉で書いたが、掻い摘んで言うと、努力は2種類の技術としてまとめられている。まずは-持続的技術-これは、ある製品の性能を向上させる技術をまとめて、こう呼んでいる。もうひとつは-破壊的技術-これは、既存の製品の性能を向上させるものとは違って、同等の製品(むしろ性能的には劣る場合が多い)を、別のアプローチで作ってしまう技術のことだ。

破壊的技術から生まれた商品は、大抵が、低品質だか低価格で、持続的技術を持って生まれた製品からは、歯牙もかけれらないコトが多い。しかし、高品質を求める市場とは、全く違う市場が生まれた時(正しくは破壊的技術が新しい市場を生み出す場合が多い)に、持続的技術では、対応できなくなり、取り残されてしまう。顧客のニーズに合わせて、技術を高めていくという、企業戦略的には誤りは見えないと言うのに。それだけで、新市場を見出すことはできないのだ。今の栄華は永遠ではない、と言うことに尽きるだろう。これ以外にも、興味深い話が満載だ。

この本の魅力は短い紙数では語ることは難しい。ヤヤ難しい目の内容だが、まずは手に取ることを強くお勧めする。買って損なし。