ネット資本主義の企業戦略
【著者】フィリップ・エバンス/トーマス・S・ウースター
【出版社】ダイヤモンド社
【発刊年月】1999年11月11日 【本体価格】2,400円 【ページ数】 355P
【ISBN】4-478-37287-X
戦略再考の指針
1)現時点では業界でリードする存在であっても、今の事業定義が二~三年後にも有効だと仮定することはできない。2)デコンストラクションの波に襲われる可能性が最も高いのは、既存企業にとっても最もダメージが大きく、また既存企業がそのダメージを認めたがらない部分にほかならない。3)デコンストラクションが経済的に成立しうるのを誰かが証明してくれるのを待っていては、おそらくライバルが欲しがっている最大の競争優位つまり「時間」を譲り渡してしまう結果になる。(以下略)
本文「今、何をやるべきか」より
ご存知の通り、百科事典のブリタニカは、エンカルタに代表されるCD-ROM百科事典の出現によって、その絶対的地位を奪われ、インターネット上でソースを無料で提供するという事態に追いこまれてしまった。本書ではまず、ここに含まれた失敗が、インターネットビジネスにおける、全ての本質を包含しているとし、「ブリタニカの失敗」を、不吉な前例としてあげている。
進化しつづける情報技術、その能力を活用することによって、ビジネスや産業の定義、さらには競争優位はどう変わっていくのか。つまり本書によるところの「情報に関しての新しい経済原理」を理解し、戦略を立案していないと、最も安定的と考えられていた産業や、確立済みのビジネスモデル、最強のブランドでさえも、粉々に砕け散ってしまう可能性を、「ブリタニカの失敗」は、示唆していることを本書では解説している。
そして、その危機を乗り越えるための「希望」とは、持続的な価値を持つ新しい「何か」を築くことであるとしている。さらに「何か」を構築するための様々なアプローチも、詳細にかかれている。「リッチネス」「リーチ」や「デコンストラクション」「ディスインターミディエーション」などと言った、インターネットビジネスに係わるために知っておきたいキーワードも、様々なセオリーとともに満載されている。
インターネット社会においては、ここに書かれている先端の理論ですら、既に過去のものかもしれない。しかし、単純化した公式による近道を設定しなかった分、本書の視座視点は、色あせることはない。ぜひ読んでおきたい一冊である。
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