IT2001なにが問題か
【監修】林紘一郎・牧野二郎・村井純
【出版社】岩波書店
【発刊年月】2000年09月25日【本体価格】2,400円【ページ数】475p
【ISBN】4-00-009849-7
この情報社会とよばれる一つの時代の切り口を、そのありのままの断層を見ていただければ幸いである。その断層の中から、次の時代を創造するための光の束をぜひつかんでいただきたい。
本文 はじめに より
このメールマガジンの読者にマーケティング調査をしても、属性が偏りすぎて、意味をなさない場合がある。何故か。すべての人たちがインターネットの利用者であるからだ。そんな社会はまだ無い。しかし、今の勢いだと、そう遠くない将来に、そういう社会が実現されるのではないか、それほど、インターネットを取り巻く潮流は、大きなものになっている。しかし、インターネットについて、皆さんはどのくらい知っていますか?
本書は、インターネットが起こしている大きなうねりである「IT革命」のさなかの、ありのままの姿を、ざっくりと理解できるように編まれている。インターネットのインフラや制度的な問題、現場で起こっているさまざまな課題、教育、経済、メディア、市民活動、といった視点からみた、インターネットの活用事例と問題点、可能性を、多数の論客が極めてわかりやすく論じている。実際のインターネット利用者であっても整理できていないインターネットの今を、この本を読むことで大づかみにすることが出来る。
それぞれのコラムは、レベルの差はあれども、興味深い。例えば、 「日本にデジタルデバイドは存在するか?」の項では、日本にはアメリカ型のデジタルデバイド(=持つものと持たざるものの格差)は存在しないと。代わりに、デジタルデバイスが生活に存在しなかった世代、デジタルデバイスをなんだかの形で受け入れざるおえなかった世代、すでに生活環境の中にデジタルデバイスがある世代、それぞれに葛藤が生じていると述べている。それぞれの意識格差、なぜデジタルデバイスを受け入れないのかという心のメカニズム、さらには、子供たちへのデジタルデバイスの与え方について、など、話は広がっていく。
このように、従来の「インターネット解説本」には無い「総花的視点」は実にありがたい。おそらくは、個別に専門的に述べられていただろう、さまざまな分野での、インターネットについての議論が、掻い摘んでここで読むことが出来る。当然のことながら、関連のホームページ、必要な情報源、キーワードの解説など、コラムの理解への補助も万全である。インターネットの積極的な利用者として、一度全体像を、きちんと把握しておきたい、という人にお勧めの一冊なのだ。ただし、所詮「紙の本」である。生の情報は先に進んでいるということを、忘れないという前提であるが…。
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