おたずね申す日本一-食材の現場から
【著者】フライ【訳者】酒井一夫【出版社】東京図書
【発刊年月】1994年02月25日【本体価格】1,500円【ページ数】158p
【ISBN】4-489-00431-1
【著者】大本幸子【出版社】TBSブリタニカ
【発刊年月】1998年07月28日 【本体価格】1,600円 【ページ数】 315P
【ISBN】4-484-98209-9
同書 おわりに より
「料理王国」という月刊誌に連載されていた記事を、単行本としてまとめたものである。さまざまな食材の日本における最高峰を作っているヒト、その現場を訪ね歩いたルポだ。なかなかに興味深い。日本一の食材を味わいたいヒトのために、取り寄せリストまでついている親切さ。しかし、この本の面白さは、モノを作る、それに携わる人たちの気持ちを描いているところにある。
ここに紹介されている食材は、全部で二十四種類。牡蠣から始まって、黒豚、メロン、椎茸、わさび、蜂蜜、黒豆、鶏など…、多岐にわたる。採りに行くヒト、育てるヒト、立場は違うが、自然を相手にした、とても過酷な仕事である。考えようによっては、自らの力ではどうしようもない部分が多い。しかし、あらゆる知恵を持って、その困難に立ち向かうココロの持ちようは、ビジネスマンにとっても、多いに参考になる。凡百のビジネス書では及ばないほど、生産者からの言葉一つ一つが、とても重い。
例えば、マスカットを作っている岡山の浅野弘さんの話。マスカットは、作ることそのものにも手間をかけるが、それ以外にも注意が払われている部分がある。出荷の調整である。毎年出荷前に会議が行なわれ、各農家ができ具合を報告、計画出荷をする。何時何時と言う細かい日付と、その日付に出荷される場所まで指定される。がんじからめのように見えるが、それを、無理無駄を出さないシステムとし、そういう流れが、作り手を潤している、と、実にドライな感覚で実行している。しかし、その底辺にあるのは、(マスカット生産にかかわるヒト)みんなが幸せになって欲しい、と真剣に考えていることだ。
儲かって、しかも、幸せになれることを考えている。当たり前のことのようだが、実際にこのような行動がとれるビジネスマンは、ひどく少ない。キャリアアップのためのポリシーとして、持つべき矜持だと思う。そんなスタイルも、この本には溢れている。読んでおきたい。
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