ティッピング・ポイント

【著者】マルコム・グラッドウェル【出版社】飛鳥新社
【発刊年月】2000年03月15日 【本体価格】1,700円 【ページ数】 310P
【ISBN】4-87031-394-4

ティッピング・ポイント[THE TIPPING POINT]
あるアイディアや流行もしくは社会的行動が、敷居を越えて一気に流れ出し、野火のように広がる劇的瞬間のこと。
同書 見返し より

あらゆる流行の感染には原因がある。同書では、流行=感染であるとし、その「病原菌」を探すことで、流行の仕組を構造的に説明しようとしている。その試みが、まずとても興味深い。伝染病が感染する仕組は、病原菌を運ぶ人々、病原菌そのもの、病原菌が作用する環境、その三つの関数である、と同書では説明している。それらの要因を、流行になぞらえると、少数者の法則、粘りの要素、背景の力、とし、詳細な解説を行っている。すべてを説明する余裕はないので、少数者の法則の触りだけを紹介する。

まず、流行が生み出されるのは、ごく限られたキーパーソンが、発信源となって起きている、と述べている。そのキーパーソンは、社交的で、活動的で、知識が豊富で、しかも、仲間内に影響力がある、といった事柄にぬきんでているヒトであるとしている。これらの要素を持たないヒトが発信する情報と、持つヒトの発信する情報では、伝達力に格段の差が生まれるらしい。また、それぞれも、能力により、コネクター、通人、セールスマンと分類されている。それぞれがどういう特性があるのかは、同書を読む楽しみとして残しておこう。ここでは書かないが、なるほどと膝を打つことは、請け合いだ。このキーパーソンをどう動かすか、ということが、流行づくりのカギになるとしている。

当たり前のセオリーのようだが、この手の話が、論理的にまとめられた書籍は、実はとても少ない。豊富な事例や、わかりやすい引用。文章内の重要な文言には、極端に太い文字を用いるなど、読みやすさにも配慮している。鍵穴を模したクエスチョンマークを、大きく配した装丁、内容が俯瞰できる腰帯など、書店で手にとって、楽しいものとなっているところも、評価しておきたい。

流行していく仕組を知ったからと言って、流行を作り出せるわけではないが、流行を作り出せない仕組を作ってしまう失敗は、回避できるかもしれない。まずは一読し、流行発信のセオリーを身につけておくことは、決して損ではないだろう。お勧めしておきたい。