デザインマネジメント戦略

【著者】佐藤典司【出版社】NTT出版【発刊年月】1999年04月30日 【本体価格】2,300円 【ページ数】 257P 【ISBN】4-7571-2013-3

いまや、商品の基本的機能の価値が主体で、商品の発する情報価値が従という時代は終わった。もちろん、その力関係は個別の商品によって違うだろうが、おしなべて、消費における情報価値優位の時代は、ますます動かしがたいものとなりつつある。
本文18ページより

ドラスチックに変わる消費者のこころを的確にとらえ、商品やサービスの魅力をアップさせる情報価値創造の定石を、本書では解き明かす。腰帯にある「ヒトは、商品そのものの性能も大切だけれども、それ以上に、付加されている情報に消費行動が左右されている」ということを、実にわかりやすくまとめている。本書は二つのパートからなる。まず、情報消費社会論と題して、情報消費社会という新しい概念を、詳細に提示し、つづいて、デザインマネジメント戦略とし、情報消費社会に企業が対応するための、マネジメント手法を、具体的に提示している。

情報消費社会論では、情報は「何かとの差」であるとし、その価値は「他との相対的なもの」であるとしている。一過性の流行、と片付けられていた現象も、実は、その商品が持つ情報の他商品との差異が、ライバルの追随か、自らの販売拡大によって自然に埋まったからだとし、消費者の飽きっぽさを嘆くのは、多くの場合間違いだとしている。売れすぎるから、商品価値が下がる、それは、その商品が、機能を求められているのではなく、その商品についた情報を求められているからに他ならない、とするこの視点、特に目新しくないが、明快になっていた話でもない。なんとなく、わかっていたことを、クリアにされていく快感が、この本にはある。

デザインマネジメント戦略では、デザインマネジメントを実践していく上で必要なスキルを、目標設定、管理手法、人材、組織づくりなどの、多方面から示唆している。情報と、その価値を論じる本は多数見ることができるが、情報の価値を見出し、その価値を作り出すためのスキルを詳細に論じた本は少ない。その部分でも、特筆すべきだろう。

講義を思わせる丁寧に順を追った説明と、饒舌とも感じるかもしれない砕いた文章が、本書をわかりやすいものとしている。難を言えば、つまみ食いしにくい本ではあるが…。ゆっくりと噛み含むように読むと、なるほどと思えるはず。情報の本質を掴むためには、一読しておくべき本だろう。