戦略シナリオのノウハウ・ドゥハウ

【著者】野口吉昭編/HRインスティテュート著
【出版社】PHP研究所
【発刊年月】1999年07月15日【本体価格】1,600円【ページ数】235p
【ISBN】4-569-60685-7

戦略は、理念&目標というビジョンを実現するための大きな方向づけ、ベクトルであり、計画・管理・業務を本来、規定するものだ。つまり、多くの意思決定を統合するルールでもある。(中略)が、この定義では、少々モノ足りない。それは、抽象的すぎるからだ。(中略)戦略の定義は、時代背景や市場構造によってニュアンスが異なって当然! 現在は、やはりFocus & Deep! がわかりやすい。
本文 25p より

あなたの企画には戦略が足りないな--と言われた経験はありますか?あると答えた人は、優秀な上司をお持ちですね、羨ましい限りです。

ビジネスの現場で戦略という言葉を耳にすることは多いが、戦略とは何なのか、きちんと理解している人はひどく少ない気がする。総花的でお題目のような言葉を戦略と呼ぶ人もいれば、実施するための計画を戦略と勘違いしている向きもある。今回紹介するこの本は、戦略とは何か、その入り口から、戦略立案の方法論まで、ギュッと凝縮された一冊だ。

本書では、戦略はコンセプトであるとしている。ここで言うコンセプトとは、従来からの「概念」とは少し違い、何かに対しての「差別的優位性」である、としている。つまり戦略とは、あるビジョンを実現するための、差別的優位性を示したものであり、ビジョン実現のために用意される、さまざまな計画の指針となるべきものである、と定義付けている。このあたりの「言葉」の整理がきちんとなされている本は、意外と珍しい。

さらに、戦略を実現するための「シナリオ」を作成するための-分析、考え方をまとめる、具体的にプレゼンテーションをするなど-ノウハウを紹介している。それぞれが、簡潔ではあるが「しなくてはならないツボ」をきちんと押さえてあるために、手引書として完成度の高いものになっている。

平易な文章と適切な図版(まとめる書類のサンプルまである)で大変わかりやすい本書は、とても魅力的だ。しかし、ノウハウだけでは、必要十分でないことも忘れてはいけない。ツールを使いこなすには、利用者側にもそれなりの「体力」を要求する。ビジネスに関する「視座・視点」をきちんと持ち合わせなければ、どんな優れたノウハウも、宝の持ち腐れとなるだろう。

このノウハウ群を積極的に「ツール」として活用することによって、企画や、戦略立案といった部分でのビジネススキルが、かなり向上することだろう。それほどに即効性の高い本である、とお勧めできる。版を重ねているようなので、手に入れやすいはずだ。ぜひ。