口コミ伝染病

【著者】神田昌典【出版社】フォレスト出版
【発刊年月】2001年03月10日【本体価格】1,500円【ページ数】274p
【ISBN】4-89451-109-6

口コミに関する研究が少ないのには、理由がある。口コミには、「お客様に奉仕していれば、自然に起こる」「コントロールできない」との迷信があるからである。この迷信のために、口コミを主体的に活用しようと思う会社がほとんど現れない。(中略)この本は、口コミ・パワーを強める方法を、誰でも即、実践できるように書かれている。
本書 6ページ より

今回は、職務上の直接的なメリットを受ける人は、そうたくさんはいないだろうけど、実に面白い一冊を紹介する。今マーケティングの世界では、その効果が見直されている「口コミ」について、今までの常識を覆すセオリーをたくさん紹介した、いわゆる「目からウロコが落ちる」本である。

従来のマーケティング業界の常識としては、口コミは自然発生的に生じるもので、コントロールやプロモーションは難しいとされていた。本書はその常識を覆す、口コミをある程度こちら側から起こしてやり、自らの顧客自身が「宣伝媒体」となるプログラムを提示している。その仕組みは明快で、実践が容易であるようだ。読んでいて、力が湧いてくる、そんな内容である。

さて、詳しい内容は本書を手にとってもらえばわかることだが、ここでは本書をまったく違う視点で読み解いてみたい。本書の筆者は2500社の顧客を抱える、カリスママーケッター。本書を読む限り、絶大な信頼を寄せられているようだ。その信頼の秘密は、本書をよく読んでみるとわかる。

まず、文章が平易である。読んでみればわかるのだが、単にカンタンというわけではなくて、読み手のレベルとニーズに合わせてある。次に、引いてくる様々な事例が適切で、スキルの理解をサポートすると同時に、実践をする際のイメージトレーニングになっている。さらに、スキルの理解から行動までが、押し付けがましくなく、しかし、一直線で設定されている。

賢明な皆さんは、すでにお分かりだろう。この本は、どのようにして相手を説得すれば、その相手は十分に得心するのか、という「ギミック」が満載された本なのだ。どうすれば「きっかけ」が掴めるか、どの例をあげれば相手が「イメージ」しやすいか、どうすれば相手が「行動」を起こすか…。きちんと読めばすべて書いてある。これは、すべてのビジネスパーソンに必須のスキルであるはず。

スキルアップのための読書に大切なことは「雑食」であると言って良い。要は、自分には関係ない分野だからといって、書店に並ぶ面白そうなビジネス書を読まずにいることは、実は大変な損失なのだ。多方面の「ビジネス力」を形成するためには、好き嫌いせずになんでも食べることをお勧めしよう!