テクノ・ヒーローの伝言

【著者】滝田誠一郎【出版社】小学館
【発刊年月】2001年08月01日【本体価格】1,200円
【ページ数】285p【ISBN】4-09-346421-9

「特許を申請できるくらいの成果を上げても、それでも正規のテーマとして認めてもらえない。ならば実験機を作ってデモでも見せてやろうじゃないか、と。ベル研でやっているレベルのことだったら、あんなものすぐにできるさとかいって実験機を作りました」(中略)日本初の文字読み取り装置が完成する。が、それを見ても課長の評価は変わらなかった。
本書 144 p より抜粋

本書カバーの折り返しにこうある-「20世紀後半に活躍し、日本を世界に冠たる技術大国にした陰の立役者たち」を本書では「テクノ・ヒーロー」と名づけた-と。怒濤のように世界を席巻した「メイド・イン・ジャパン」を生み出した17人の物語である。面白いに決まっている。

世界にはばたいた日本製品…どのようなものがあるだろうか。例えば「チキンラーメン」「ジャスピンコニカ」「ウォークマン」「写ルンです」「プリウス」-それらのすべては、実にオリジナリティ溢れるものである。その素晴らしい製品を開発するに当たって、開発者たちは、何をどう考えていたのだろうか。

日本語ワープロを開発した東芝の研究者は、入社後に与えられた研究テーマにおいて、アイデアを出せども出せども、先人が必ずいる。もう研究は嫌、と思った矢先に、あまり人の手に触れていない研究テーマを見つける。会社には内緒(=アンダー・ザ・テーブルと呼ぶそうだ)で研究を始める。そして、3年経って、その研究が会社に認められ、ワープロ開発の糸口となる。

ボンカレーを完全な製品として世に出した大塚化学の研究者は、不完全だった製品を見て、自らの技術を会社に売り込む。完全な製品化に成功するも、20年後に左遷されてしまう。が、好きなことをやって良いと言われ、海外をブラブラすることに。そこで見つけたマイクロ波による食品加工技術を応用して、「あ!あれたべよ」を作ってしまうのである。

そう、彼らの話は一様に面白い。分野は違うはずなのに、皆同じように自分たちの技術に信念にも似た自信を持っている。また、どんな難題にも「考える」という、実にシンプルな行為で乗り切ってしまう。「絶対にできるはずだ」「何としてでもやらなければ」「断固としてやるべきだ」-著者の言葉を借りれば「開発者魂」を持って製品開発をしているのだ。

ひとつひとつのエピソード中に、自分の仕事に応用できるスキルが隠されている…と言うわけでも別にない。しかし、読んでいて、ワクワクする、ドキドキする、そして、自分の普段の仕事振りを見直し、そして…。明日からしっかりと頑張ろうって、やる気になるのだ。つまり、ビジネスパーソンに元気を与える、そんな本である。ぜひとも、手元に1冊常備ください。