IBMで学んだことアスキーで得たことセガで考えたこ

【著者】廣瀬禎彦【出版社】WAC
【発刊年月】2001年11月06日【本体価格】1,400円
【ページ数】214p【ISBN】4-89831-031-1

私が求めていたのは、アイデアを生み出す際の基礎となるような考え方を教えてくれるテクニック、いったん身につければイノベーティブ・シンカーが生み出すのと同じたぐいのアイデアを、同じ数だけ生み出せるようになるテクニックでした。そうしたテクニックが見つからなかったので(中略)明らかにしようと私は決心しました。
本書 腰帯 より抜粋

今週紹介する本の筆者のことは、派手かつユニークな経歴の持ち主であることから、ご存知の方も多いだろう。IBMで「アプティバ」を、セガで「ドリームキャストのネット接続」を、そして今、ケーブルテレビで「ブロードバンド普及」に取り組んでいる名物男が「自分のために仕事をする方法」を記している。本メルマガ読者なら気になるところだろう。

本書に書かれていることは、「IBM」「アスキー」「セガ」にて筆者が行った仕事についての「四方山話」をまとめてあるだけである。こう書いてしまうと、本書は魅力無いものに聞こえるが・・・これがとても面白いのだ。筆者のアクションの中に、ビジネスパーソンとして持っておきたい「視座・視点」のエッセンスが詰まっているのだ。

IBMという外資系の企業に在籍した筆者は、相当早い時期から「本場のリストラ」を目の当たりにしたそうだ。会社は定年まで勤めるところではないと実感し、「会社を辞める選択肢も持つ」と結論に至る。そこから、「会社に依存することなく、楽しいと思える仕事をする」という、行動原理を持つようになったという。その後の転職もその原理に基づいている。

また、パソコン業界から出版、ゲーム、そしてブロードバンドと、畑は似ているが異なる業種への転職については、過去の経験が生きない。だから成功体験に縛られることがない。筆者は業種を替えて転職することは、過去の経験のエッセンスだけを生かすということと認識せよ、と言っている。だから、自分の経験を出来る限り抽象化する必要があると説く。

さらに、転職をするということへの恐れの克服として「声をかけてくれた人は、その人なりに私の能力を値踏みして、勝算ありと映っているのだろう」と考えることにした、と言う。一緒に仕事をしませんか、と言う人にとっては、筆者は「1つのソリューション」なのである、仕事をする側は、させる側にとって「商品」なんだと、実にクリアな視点を紹介している。

筆者は日本企業のリストラは、この先も続くと言う。理由として、企業はいったんリストラの味をしめると元には戻らない、としている。不安な時代だが「ものは考えよう」だ、と読者を励ます。自分のキャリアの中からエッセンスを抽出すれば、生かすための次の仕事待っているはずだと。そう信じたい。信じるためになにをすれば良いのか、本書にその指針は書かれている。